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まちづくりの歩み止めず インフラ整備、急ピッチ 石巻地方

橋桁が1本につながり、3月の開通を予定する石巻かわみなと大橋
4月のオープンに向けて工事が進む牡鹿地区の健康づくりパーク整備地
整備工事が続く石巻港排水ポンプ場

 東日本大震災から10年が経過した。被災地のまちづくりは新たなステージに移りつつある一方で、甚大な被害を受けた石巻地方では、地域の防災やコミュニティーづくりを支えるインフラの整備が今も続く。

石巻かわみなと大橋、3月開通

<命つなぐ、避難道路の役割>

 石巻市の北上川に新設する「石巻かわみなと大橋」は昨年10月、両岸から延ばした橋桁が1本につながり、結合式を実施した。今年3月の開通を予定し、現在は欄干や照明などの設置工事を進めている。

 橋は河口部の日和大橋から約500メートル上流に位置し、東の湊地区と西の門脇町地区をつなぐ。延長536メートル、幅員12.5メートルの片側1車線で、上流側に歩道を設ける。石巻市から委託を受けた県が2016年10月に工事を始めた。

 震災後に形成された両岸の市街地に暮らす住民の利便性向上だけでなく、災害発生時には避難道路の役割を担う。震災時、市内では沿岸から内陸に避難しようとする車両で渋滞が発生し、被害が拡大した。市は車両を分散させて円滑な避難につなげるため、かわみなと大橋や昨年3月に開通した渡波稲井線を整備した。

 名称は市民公募で決めた。かつて魚市場などがあって川湊として栄えた場所は震災後、市南浜防災マリーナや河川の堤防空間が整備され、復興を象徴する景観の一つになった。

 復興関係の道路整備ではこの他、市の石巻工業港運河線や釜大街道線、東中瀬橋、県の門脇流留線なども工事が進んでいる。

4地区に「健康づくりパーク」

<雄勝など、4月オープン>

 震災の津波で被災した沿岸部の災害危険区域などを活用し、石巻市は市内4地区に「健康づくりパーク」を整備する。4月に雄勝、北上、牡鹿の3地区でオープンする。

 健康づくりパークはパークゴルフができる広場で、住民の健康増進やコミュニティー醸成が目的。競技場ではなく、無料で利用できる。跡地利用が進まない被災者の移転元地の一体的な活用策として市が打ち出した。

 4月開園の3地区はいずれも18ホールを備え、広さは雄勝が1万6000平方メートル、北上が2万2000平方メートル、牡鹿は2万平方メートル。地元利用団体に管理を委託する。

 渡波地区は渡波中と石巻市女商高の跡地を活用する。2023年度の利用開始を目指して工事を進めている。

雨水排水ポンプ場、7カ所完成

<4カ所の早期完工待つ>

 震災で市内全域が地盤沈下した石巻市は、雨水を排水するポンプ場の建設を市内各地で進めている。新設する11カ所のうち、現在までに7カ所が完成した。

 本年度は昨年7月に北北上運河右岸第二、8月に流留第一、9月に流留第二の各排水ポンプ場が稼働した。残る石巻中央、石巻港、不動沢、渡波の4カ所は工事が続く。

 市内は震災後、雨水の自然流下が困難になり、排水能力が大幅に低下。市は2014年度に雨水排水基本計画を見直し、対応する雨量は5年に1度の大雨に相当する1時間当たり45・6ミリに設定した。

 ポンプ場完成までは仮設ポンプの設置などで対応するが、19年10月の台風19号では浸水家屋が約1万棟に上り、昨年9月にも大雨で市内中心部で冠水が相次ぐなど水害が頻発している。早期完工が待たれる。

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