仙台市青葉区の宮城県美術館を宮城野区に移転する県の構想を巡り、美術館前庭に設置された世界的彫刻家ダニ・カラヴァン氏の作品「マアヤン」の行方に注目が集まっている。建物の構造や特徴を生かした作品をそのまま移転することは困難で、売却や取り壊しの可能性もある。カラヴァン氏側も美術館に問い合わせのメールを送るなど動向を注視している。
(生活文化部・江川史織)
8本の列柱とその足元を縫うように走る水路から成る作品は1995年、県が7000万円で購入。全国4カ所あるカラヴァン氏の作品のうち、初めて美術館に設置された。
県美術館の浜崎礼二副館長によると、カラヴァン氏は自然や街並みの景観や気候、歴史的条件に調和した「環境彫刻」の代表的作家。前庭に立つケヤキと建物の間に列柱を配し、最後の1本を白く塗装した美術館の柱に兼ねさせることで、連続性と一体感を表現した。
一見同じ高さに見える列柱は斜面に合わせて長さを変えるなど、細かい配慮が施された「オーダーメード作品」だ。浜崎副館長は「季節で変わる影の長さも計算して作っている。この場所にあるからこそ成立する作品」と解説する。
美術館の移転、集約に国の補助金を活用する場合、新設後5年以内に現在の美術館を廃止する必要がある。カラヴァン氏の作品は移転が不可能ならば、売却か解体のいずれかを選択しなければいけない。
カラヴァン氏の事務所は6月、代理人を通じて美術館に移転の状況をメールで質問。美術館は「現地改修か、集約複合化による移転か今後比較検討していく。具体的な事項は決まっていない」と答えるにとどめた。
仮に取り壊しとなった場合、法的な問題はないのか。県生涯学習課は「今後カラヴァン氏と話し合う機会もあるかもしれない」と前置きしつつ、「代金の支払いと作品の納品が済んでおり、瑕疵(かし)もない。売買契約は完了しており、作品の所有権は県にある」と説明する。
知的財産法に詳しい東北大研究推進・支援機構URAセンターの稲穂健市特任准教授も「日本の著作権法では、所有者による著作物の破壊を制限する規定はない」と話す。建物、土地など周辺環境の著作権がカラヴァン氏にないため、著作者の意に反してタイトルや内容を改変できない「同一性保持権」の侵害も適用される可能性は低いという。
一方、市民には作品の保存を求める声も上がる。美術家などによる「宮城県美術館に期待と関心を寄せる有志グループ」事務局の佐立るり子さん(46)は「手続き上は問題ないかもしれないが、県民の貴重な財産。なくなってからでは遅い」と危惧する。
「子どもたちが物の見方を養う教育的な効果も高い。作品を捨ててまで美術館を新設するメリットはあるのか。カラヴァン氏や県民と十分な協議が必要だ」と訴える。
[ダニ・カラヴァン]1930年イスラエル生まれ。環境彫刻、記念碑などをイスラエルや欧米で制作。国内では仙台のほか、札幌市、鹿児島県湧水町、奈良県宇陀市にある。世界の優れた美術家に贈る「高松宮殿下記念世界文化賞」(日本美術協会)に98年、選ばれた。
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