うたの泉(1439)しづまりかへる露地を素通りしてゆけり 赤い尾鰭の郵便バイク/佐々木勢津子(ささき・せつこ)(1941年~)
静まりかえった路地。その路地をさっそうと素通りしていった1台の郵便バイク。後部には郵便物を入れた赤いボックスがありますが、それを魚の「赤い尾鰭(おびれ)」と見立てた楽しい一首です。郵便バイクが躍動し、まるで生き物のように感じます。バイクを詠んだ<君といふ翼うしなひ納屋の隅に七百五十cc(ナナハン)…
関連リンク
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