うたの泉(1444)過ぎゆきは清清しくあれ大年の 火をつくるとき闇のふくらむ/辺見じゅん(へんみ・じゅん)(1939~2011年)
大年は大(おお)晦日(みそか)のこと。1年を凝縮したような夜闇が広がっています。「火をつくる」には寺社の松明(たいまつ)、ろうそくの火、煮炊きの火などの場面が含まれているのでしょう。通り過ぎたすべてのことを悔やまずにさっぱりとしたい、火によって浄化してほしいという祈りを抱く夜。作者は角川書店の創業…
関連リンク
- ・うたの泉(1443)詩に痩するといふこともなき歳晩の 今宵を煮えて濃きブリ大根/島田修三(しまだ・しゅうぞう)(1950年~)
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- ・うたの泉(1440)十字架に肌(はだへ)の白く俯けり 死につつ生きて人の名はある/松本実穂(まつもと・みほ)(生年非公表)
- ・うたの泉(1439)しづまりかへる露地を素通りしてゆけり 赤い尾鰭の郵便バイク/佐々木勢津子(ささき・せつこ)(1941年~)