津波被災の「獅子頭」修復、白山神社に奉納 女川の安全守る象徴に

奉納された獅子頭と相原さん(右)、木村総代長(左)ら

 東日本大震災の津波により女川町で被災した獅子頭が修復され、町内の白山神社に奉納された。修復作業は、かつてこの獅子頭を作り上げ、震災後に同町から加美町に転居した男性が手掛けた。関係者は、被災からよみがえった獅子頭が町の守り神となるよう願っている。

 修復された獅子頭の大きさは縦横約50センチ、高さ約40センチ。装飾用に作られた物で、獅子振りで使う物の4倍ほどある。制作したのは震災前、町内で時計店を営んでいた白井三男さん(87)。2004年に完成させ、町内のイベントなどで獅子振りを披露する活動を続けてきた相原義勝さん(72)が経営する果物店「相喜フルーツ」の店内に飾られていた。

 女川湾近くにあった相喜フルーツには、白井さんが手掛けた大小10個以上の獅子頭が飾られていたが、震災の津波で店舗兼自宅とともに全ての獅子頭が流失。数日後約2キロ離れた杉林で二つだけ見つかった。

 今回、修復して奉納されたのはそのうちの一つ。福島県会津三島町産の1本のキリの木から手彫りして仕上げた。色が塗られず美しい白木のままだったため、油まみれになり、耳や鼻も取れてしまっていた。

 白井さんは汚れを落として耳や鼻を作り直し、色を10回ほど塗り重ねた。14年中に約1カ月かけて作業し、自宅に保管していた。相原さんは「汚れがひどく修復にどれぐらいかかるか分からなかったが、立派に直って戻ってきた」と喜ぶ。

 白井さんは趣味で作った獅子頭や神棚などを友人らに提供していたが、町内で営んでいた「白井時計店」も被災。54年間暮らした女川を離れて出身地の加美町に引っ越した。白井さんは「お世話になった女川の皆さんと共に、これからも幸せに暮らしていきたいという願いを込めた」と話し、相原さんと白山神社への奉納を決めた。

 白山神社も震災で全壊し、17年10月に再建された。真新しい社殿に奉納された獅子頭に、氏子総代会の木村公也総代長(60)は「白山神社の神様がいるようなもの。町の安全を見守ってもらう象徴にしていきたい」と話した。

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