河北春秋(1/14):1990年代半ば、米大リーグは労使間の対…

 1990年代半ば、米大リーグは労使間の対立が激化していた。94年8月に始まったストライキが泥沼化して、ワールドシリーズ(WS)は中止。95年も開幕が1カ月近く遅れた。ストに嫌気が差したファンが離れつつあった▼窮地を救ったのが、日本球界から単身海を渡った野茂英雄投手。ドジャースに入団した彼は5月にメジャー昇格を果たすと、初勝利を皮切りに6連勝して、球宴の先発マウンドにも立った。「ノモマニア」と呼ばれる熱狂的なファンが現れ、子どもたちは「トルネード投法」をまねした▼当時、ド軍の監督を務めていたのが、先日93歳で亡くなったトミー・ラソーダさん。野茂投手を「俺の息子」と呼び、慣れない環境にいち早く順応できるようにと気を配った▼投手だった現役時代は無名だったが、約20年にわたってド軍を率いて、81、88年にWSを制覇した。球団への深い愛は「俺の体にはドジャーブルーの血が流れている」という名言を生んだ。ド軍は昨季、32年ぶりにWSを制した▼ラソーダさんなくして、野茂投手の活躍はなく、野茂投手の活躍があったからこそ、イチローさんをはじめ多くの日本人選手が後に続いた。日米球界の交流にも尽力し、2008年に旭日小綬章を受章。気さくな人柄は日本でも愛された。(2021・1・14)

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