元気くれた園児の絵返還 UR女川復興支援事務所、閉鎖
東日本大震災で女川町の復興事業を手掛けた都市再生機構(UR)の女川復興支援事務所は、町内の保育園児から贈られ職員たちを励ましてきた絵を、中学生に成長した当時の園児2人に返還した。URは町が進めた宅地や道路整備のほとんどを担い、受託事業が終了したことから3月31日に事務所を閉じた。励ましに感謝し、女川の未来を担う次世代に期待を寄せた。
返還された絵は、復興事業始動に当たり、町とURが2012年7月に協定を結んだ際に贈られた。
絵を描いたのは現在女川中3年の阿部ナナさん(14)と佐竹佑太さん(14)。当時、町内の保育園児だった2人が5歳と6歳の時に「希望をつなぐ女川の未来予想図」をテーマにそれぞれ描いた。
阿部さんは「みんなが遊びに来てくれるステキなホテル」、佐竹さんは「女川の海でいっぱい釣りがしたいな」と題し、自然に囲まれたカラフルなホテルや海で悠々と泳ぐ魚と釣りをする人たちの様子を描いた。
絵は計約100人が働いた事務所の執務室に額に入れて飾られ、職員が業務の傍ら目にしていた。事務所閉鎖に伴い、「倉庫に保管して眠らせることになったらもったいない」と本人たちに返すことになった。
3月24日に女川中であった返還式で、UR宮城震災復興支援本部の大石彰本部長は「2人の未来予想図に励まされ、精いっぱい仕事に取り組めた。ここからは皆さんの世代の出番。女川がどんな街になるか楽しみにしています」と話した。
絵を受け取った佐竹さんは「絵は家の茶の間に飾っている。今の街が好きなので、街をつくってくれてありがたい。励まされたと言ってもらえてうれしかった」と語った。