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石巻の大津さん、米記者と「再会」 ネットで現状報告 震災直後に現地案内

オンラインで再会を果たした大津さんとチコさん
チコさんの取材で通訳を務める大津さん=2011年3月31日

 東日本大震災直後の石巻を取材した米ワシントンポスト(WP)の記者と、当時現地を案内した石巻市泉町の元石巻専修大教授、大津幸一さん(73)が、10年越しの再会をオンラインで果たした。2人は旧交を温め、石巻の現状を海を越えて再び伝えた。

 WPローマ支局長のチコ・ハーランさん(38)は震災当時、東京駐在の記者だった。発生直後、知人の紹介で訪ねた大津さん方を「支局」にし、2011年3月末まで石巻地方などの三陸沿岸を取材した。約10日間大津さんの通訳などに支えられ、同4月、WP紙にリポートを掲載。アメリカに被災地の状況を伝えた。

 再会は2月下旬、取材という形でかなった。大津さんはオンラインで写真などを使い、石巻の現状を紹介した。

 3月11日のWP紙では、整備中の旧大川小周辺の写真や復興の進む街の様子、チコさんが10年前に目撃した被災地の実情が報じられた。

 チコさんは石巻かほくの取材に「当時を知る私からすると現在の石巻は異国のような景色だ」と述べ「アメリカでは東京電力福島第1原発事故が象徴的だ。しかし石巻を中心に、何万人もの命を奪った津波のことも決して忘れてはいけない」と語った。

 当時、大津さん方には約10人の避難者が身を寄せていたという。チコさんはクジラの缶詰やビールなどを分け合った夜を記事につづった。「石巻で他に頼れる人はおらず、大津さんがいなければ取材は不可能だった」と感謝した。

 大津さんは「英会話で石巻の現状を伝えられてよかった。日本のことを世界に発信するため、英語を学ぶ人が増えてほしい」と語った。

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