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石巻市長選、告示 新人4氏が論戦

 任期満了に伴う石巻市長選が18日、告示された。石巻市長選には、いずれも無所属で、元市包括ケアセンター所長の医師長純一氏(54)、元自民党衆院議員の医師勝沼栄明氏(46)、元市議阿部和芳氏(61)=立候補に伴い市議を自動失職=、元県議斎藤正美氏(66)=自民・立民推薦=の新人4氏が立候補した。

 東日本大震災からの復興を進めた現職の亀山紘氏(78)が引退し、12年ぶりに新たなかじ取り役が選ばれる。各候補はポスト復興や人口減少、新型コロナウイルス対策などを巡り、論戦をスタートさせた。投票は25日で、即日開票される。

 長氏は多くの被災者が暮らすのぞみ野地区の「のぞみ野中央公園」で第一声を上げた。新型コロナ対策や地域包括ケアの推進、女川原発再稼働反対を柱に掲げ「市民の命と暮らしを守る」と宣言。脱原発を推進する前南相馬市長の桜井勝延氏が応援に駆け付けた。

 勝沼氏は大街道東4丁目の事務所前で第一声。「今のままでいいというのは何もしないのと同じ。先人、未来に生まれる子どもたち、震災10年で頑張ってきた市民への裏切り行為」と市政刷新への思いを強調。10年、20年後を見据えた選択を求めた。

 阿部氏は中央2丁目の石巻ガスビル前で第一声に臨んだ。震災を経験した街の再生に意欲を燃やし、防災や医療福祉の課題への対応力もアピール。「命を大切に、石巻が豊かになるようにと思い走ってきた。健康で住みやすい街をつくりたい」と訴えた。

 斎藤氏はあゆみ野5丁目のいしのまき農協西倉庫で出陣式を実施。交流人口の拡大や教育環境の強化を掲げ、「未来に責任のある市政を実現する」と集まった支持者に誓った。斎藤氏を自身の後継に推す亀山市長や立憲民主党の安住淳衆院議員らが応援演説した。

 17日現在の有権者は12万1001人。

【遊説日程(20日)】
■長純一陣営
 ▽選挙カー=蛇田、大街道、住吉、中里、山下
■勝沼栄明陣営
 ▽選挙カー=牡鹿、流留、渡波、稲井、湊、大街道
■阿部和芳陣営
 ▽選挙カー=開北、南境、大川、北上、河北、蛇田
■斎藤正美陣営
 ▽選挙カー=南光町、河南、蛇田

◇略歴と第一声要旨

※略歴の見方:現在の職業もしくは代表的な肩書、かっこ内に主な経歴(新しい順)、本籍地もしくは出身地、最終学歴。

■長 純一 候補
〔医師(市包括ケアセンター所長、雄勝診療所長、石巻市立病院開成仮診療所長)、東京都、信州大医学部〕

 暮らしを総合的に支える地域包括ケアを目指したが、行政の縦割りの中で、皆さんの期待に応えられるものにならなかった。地域包括ケアや在宅医療を充実させ、住み慣れた地域で最後まで暮らせる石巻にする。医師と行政での経験を生かし、日本一のコロナ対策を実現する。命を守ること、行政の縦割りを無くし人々の暮らしを立て直すこと、女川原発再稼働反対を柱に戦う。命と暮らしを守る。

出陣式後、商業施設前で街頭演説を行う長氏陣営。買い物客や通行人に支持を訴えた=18日午前11時5分ごろ、石巻市茜平4丁目

■勝沼 栄明 候補
〔医師(自民党第5区支部長、衆院議員(2)、予備自衛官)、横浜市、北大医学部〕

 再生、共生、可能性を軸とした未来の処方箋を提案する。全国の自治体でいち早くコロナ禍から脱却し、社会経済を回す。海山川、平地があり、1次産業から3次産業までバランスが取れているが、生かし切れていない。可能性を伸ばしていく。10、20年後を見据え、教育や子育て支援の政策を今から打っていく。一票一票の積み重ねが石巻を動かす。一緒に新しい石巻をつくっていきましょう。

支持者の声援に応え、遊説に出発する勝沼氏=18日午前9時30分ごろ、石巻市大街道東4丁目

■阿部 和芳 候補
〔NPO法人理事(石巻日和ライオンズクラブ会長、市議(4)、市議会議長、旧市議(2))、石巻市、千葉商科大商経学部〕

 2000年に石巻市議に初当選して以来、二十数年がたった。この間東日本大震災があり、石巻を再生したい思いでいっぱいだった。合併時は人口17万だったが、現在14万を割ろうとしている。住みたい街になっていないからだ。老若男女に優しく、しがらみのない笑顔あふれる石巻再生のため、稼げる街、にぎわう街を目指し、命を大切にしたい。先頭に立ち、誇りある石巻を皆さんとつくりたい。

「頑張ろう三唱」で気勢を上げる阿部氏ら=18日午前9時5分ごろ、石巻市中央2丁目

■斎藤 正美 候補
〔1級建築士(県議(7)、県議会副議長、旧市議(1))、石巻市、日大工学部〕

 愛する古里のために全身全霊で戦い抜く。コロナ禍で経営が大変な事業者に対する独自の支援体制を築く。PCR検査は無料で受けられるように国、県に働き掛けたい。誰もが納得できる原発の避難計画を石巻方式で築き上げる。交流人口を増やすイベントを官民挙げて実現し、ここに住みたいという人を増やす。いろいろな課題を市民と共に突破していく。市政のかじ取り役を委ねてほしい。

気勢を上げる代わりに支持者と「指ハート」マークをつくって健闘を誓う斎藤氏=18日午前10時ごろ、石巻市あゆみ野5丁目

◇私の一票

<市民の声聞いて> 山崎千代彦さん(73)=自営業、石巻市飯野
 ぐいぐいと引っ張るリーダーシップは、ほどほどでいいのではないか。新市長にはどう市民の声を聞き、それをどのように生かしていくのかに期待したい。

 政策、人柄両面から選択したい。市全体を見て、地域間で大きな格差が出ないように、適切に判断し、それぞれの振興策を考えてほしい。

 これまで選挙の投票は欠かしたことがない。今回も必ず足を運ぶ。

<人柄重視したい> 佐々木正勝さん(57)=(会社員、石巻市渡波黄金浜)

 東日本大震災から10年がたち、半島部の復旧復興も徐々に進んできた。おしかホエールランドなど、観光施設も整った。新型コロナウイルス感染拡大の影響もあるが、まだまだ人を呼び込み切れていない。半島部は市の財産。行政側の工夫がもっと必要ではないか。

 交流人口増のため、気軽に運動ができる施設が欲しい。新市長は人柄を重視して選びたい。市民の声を聞いてくれる人を望む。

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