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石巻市長選 コロナ下、陣営苦悩 接触制限 選管も対策に神経

石巻市長選の立候補者とグータッチする支持者。各陣営はコロナ対策に苦慮している=18日(写真の一部を加工しています)

 新人4氏の争いになった石巻市長選(25日投開票)は、新型コロナウイルスの感染拡大後、石巻地方で初めての選挙となった。選挙運動の核だった集会や握手ができず、各陣営は接触の制限と支持拡大の矛盾に悩みながら選挙戦を展開する。

 「人を集めることも、有名な弁士を呼ぶこともできない」。候補者の一人は告示前、コロナ禍での選挙戦への戸惑いを口にした。

 密を避けるため、政策を披露する個人演説会も住民の要望を聞く懇談会もできない。集まった人数から手応えや情勢をつかむこともできず「やりにくい選挙だ」とこぼした。

 各陣営は告示後、運動時間のほぼ全てを選挙カーでの遊説に当てる。時折、車を止めて演説するが、握手はできない。それぞれが拳を合わせたり同じポーズで写真を撮ったりして親近感を演出している。

 ある陣営は密集を長時間つくらないため、街頭での演説も3分以内を目安にする。選対本部は「集会ができない分、出迎えてくれた人には丁寧にあいさつする。選挙カーもゆっくり走らせている」と語る。

 選挙事務所の感染対策にも注意を払う。別の陣営は訪問者の検温や消毒を徹底。名前と連絡先も記入してもらう。「まん延防止等重点措置」の県内への適用で市民の警戒心は高まっており、陣営幹部は「もしクラスター(感染者集団)が出たら一気に票を失う」と気を引き締める。

 感染拡大は有権者の最大関心事の一つで、公約にどう取り込むかも問われた。各候補者は経済対策やワクチン接種の方式で独自性を打ち出す。候補者の中には医師もおり、コロナ禍への親和性を前面に出す戦略も見られる。

 選挙を管理する市選管も感染予防に神経をとがらせる。昨年7月の名取、角田両市長選を視察して対策を練った。投票所では投票用紙の受け渡しに使い捨て手袋を活用。従来は使い回しだった鉛筆も1回ずつ回収し、消毒して再利用する。

 自宅療養、待機中の感染者や濃厚接触者が投票に訪れる可能性もゼロではない。投票者が体調不良などを申し出た場合は他の有権者を待たせて先に投票してもらい、会場を消毒してから再開する計画。

 投票者や開票作業の従事者に後日、感染が確認される場合もあり、担当者は「投開票が終わってもまだ気を抜けない」と語った。

【遊説日程(22日)】
■長純一陣営
 ▽選挙カー=中里、蛇田、鹿妻、渡波
■勝沼栄明陣営
 ▽選挙カー=恵み野、のぞみ野、蛇田、山下、山の手、駅前北、河南、河北
■阿部和芳陣営
 ▽選挙カー=蛇田、河南、稲井、渡波
■斎藤正美陣営
 ▽選挙カー=北上、河北、桃生

◇私の一票

<公約をチェック> 星岬希さん(18)=会社員、石巻市水押2丁目
 初めての投票が市長選です。将来の石巻を託す人を決める大事な選挙なので家族や周囲の意見などに惑わされず、自分なりに慎重に考え、決めたいと思います。現在、候補者の公約などは新聞やテレビでチェックしているところです。地元企業に就職してから改めて古里石巻が好きになりました。活気にあふれ、元気で明るい石巻を全国に届けてもらえるような人に1票を考えています。

<産業の活性化を> 佐々木一さん(73)=会社役員、石巻市桃生町寺崎
 市長選はこれまで以上に関心がある。東日本大震災から10年という節目の年に新リーダーが選ばれ、今後の石巻の進むべき道が決まる大事な選挙だと思う。コロナ禍という厳しい状況が続く中、水産、農業といった基幹産業をはじめ、あらゆる業界が苦境に立たされている。打開策を講じて活性化のために尽力し、次代を担う子どもたちの幸せのために汗を流す人に1票を投じたい。

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