仙台のBガール、パリ五輪目指しパワーアップ

練習に励む渡辺さん=2021年5月8日、名取市の「スタジオブライト」
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 ブレイクダンスで2024年のパリ五輪を目指す少女が仙台市にいます。宮城野区の高砂中2年渡辺楓さん(13)。昨年の全日本選手権で高校生を含むユース部門の4位に食い込んだホープです。伸び盛りの「KAEDIE(カエディー)」の素顔に迫ります。
(編集局コンテンツセンター・佐藤理史)

後半に向けてヤマ場を作る

 「とにかくかっこよさをアピールするようにしてます」
 自らのダンスについて、あどけなさの残る笑顔で語っていましたが、軽快な音楽が流れるとクールな表情に一変。背中や頭を床に付けて回転する大技を連続で繰り出すキレキレの動きを見せてくれました。
 ブレイクダンスの代名詞といえるアクロバティックな回転技は「パワームーブ」と呼ばれます。立って踊る「トップロック」、かがんでステップを踏む「フットワーク」、逆立ちなどで動きを止める「フリーズ」を加えた4要素で主に構成されています。
 渡辺さんは「ベビーウィンドミル」「Aトラックス」といったパワームーブの技を得意としています。
 「派手な技を前半に持ってくる人もいますが、私は後半に向けてどんどんパワーアップしていくような構成が多いです。その方が目立つかなと思っています」
 パリ五輪では元来の呼び名である「ブレイキン」として、男女の個人種目が採用されます。交互に踊りを披露する「バトル」で勝敗を決めます。日本ダンススポーツ連盟は技の難易度や表現力を項目ごとに細かく採点する審判方式を2019年に導入し、競技性を高めています。

オンライン国際大会で優勝

 渡辺さんは昨年の第2回全日本ブレイキン選手権で、中1から高3を対象にしたユース部門に初出場しました。9月の北海道東北ブロック大会で優勝し、11月の本大会は4位と健闘しました。3月には、アイルランドの競技団体がオンラインで開催した国際大会「SDIワールドダンスチャンピオンシップ」で頂点に輝くなど、めきめきと頭角を現しています。
 「結果を聞いた時はびっくりしました。国際大会で初めて優勝できたので、すごくうれしかったです」
 3歳から仙台市内のヒップホップの教室に通い始め、小学校低学年時にダンス発表会でブレイキンに出合いました。
 「こんな動きができるなんて、かっこいい。やってみたい」と憧れを強めた渡辺さん。小5でブレイキンに専念すると「踊りながらストレス発散できる。すごく楽しい」とどんどんのめり込んでいきました。
 毎週末には、夜遅くまで名取市の「スタジオブライト」でレッスンと自主練習を行っています。平日は約2時間、テーブルやソファをよけた自宅のリビングで、技を繰り返して体に染み込ませています。

ユースでの日本一を目標に

 7年前から渡辺さんを指導しているYUSKIこと高橋裕さん(38)は「普段はおとなしいけど、大会ではスイッチが入るよう。大きなけがをしたこともあったけど、絶対に諦めない熱意は素晴らしい」と話します。
 ブレイキンの発祥は1970年代、米ニューヨークの貧困地区。ギャングが、暴力ではなく音楽とダンス対決で抗争を収めたのが始まりといわれています。
 日本には80年代初めに伝わったとされています。日本は2018年にアルゼンチンで開かれたユース五輪で三つ、19年に中国で初めて開催された世界選手権で二つのメダルを獲得。男女とも世界トップ選手がそろう強豪国に数えられています。
 渡辺さんがまず目指すのはユース世代での日本一。第3回全日本選手権は5月31日にオンライン予選が始まり、各ブロック大会を経て、12月に本大会が行われる予定です。決勝戦まで進出できれば、日本連盟の強化選手に指定され、将来の代表入りに近づきます。
 「今年こそ優勝したいです。将来は世界で活躍できるだけではなく、礼儀正しく、思いやりにあふれたダンサーになりたいです」
 ブレイクダンスを愛するBガール、KAEDIEの夢は3年後のパリ、さらに先へと続いています。

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