県内まん延防止措置、きょう解除 飲食店に安堵感なく 石巻地方
政府が新型コロナウイルス対策として適用している県内の「まん延防止等重点措置」について、11日を期限に解除することを決めた。これを受け県は8日、仙台市を除く地域で酒類提供店の時短営業要請終了を決定。4月5日から1カ月以上に及んだ制限の解除を、石巻地方の飲食店関係者や市民らは冷静に受け止めている。
酒類提供店の営業が午後9時までに制限されていた飲食業界。時短要請終了の決定にも、石巻料理店組合の大森信治郎組合長(66)に安堵(あんど)感はない。「客足は戻らず厳しい状況は変わらないだろう」と先行きを案じる。
同市立町1丁目の居酒屋「くいしん坊」店主の大場直紀さん(49)は「うれしい反面、時短要請が継続される仙台から客が流れてこないか不安だ」と複雑だ。
「協力金がなくなり、経営がより厳しくなる店が増えるかもしれない」と話すのは、同市双葉町で「やきとり翔輝」を営む草野雄太さん(40)。
医療関係者は感染の再拡大を懸念する。桃生郡医師会の宍戸友明副会長(感染症対策理事)は「感染再拡大が抑え込まれたとは言い切れない。大型連休中の気の緩みが出始めるのはこれから」と警戒感を強める。
感染力が強いとされる変異株「N501Y」への感染が県内でも急増している状況も懸念し「引き続きマスクの着用と、マスクを外す場面での感染に気を付け、換気と手指消毒を徹底してほしい」と求める。
市民は不安と期待を抱える。1歳の子を連れた東松島市の女性は「幼い子がいると不安で、まん延防止措置を伸ばしたり、他の感染対策を講じたりして欲しい」と求めた。
石巻市でスポーツ少年団を指導する向陽町の自営業鈴木嘉明さん(57)は「感染拡大防止をしっかりすれば、仙台のチームと練習試合ができる。子どもたちに多くの経験を積ませてあげたい」と話した。