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高齢者ワクチン接種 予約開始も一部混乱「電話つながらない」 石巻地方

市民からの問い合わせに追われる石巻市新型コロナウイルスワクチン接種対策室の職員

 新型コロナウイルスワクチンの高齢者向け接種の予約が石巻地方で本格的に始まった。石巻市は10日、75歳以上の約2万6000人を対象に受け付けを始めたが、コールセンターに電話が集中。翌11日もつながりにくい状態が続いた。市はウェブサイトでの予約や時間をおいての電話を呼び掛けるが、高齢者からは「早く予約を済ませて安心したい」と不満が漏れる。

 市は施設入所者以外への高齢者接種を17日に始める。集団接種は8カ所、個別接種は48医療機関での実施を計画するが、予約と接種が可能になる時期は会場ごとに異なる。

 予約受け付け初日の10日はコールセンターと特設サイトで7613回分が予約された。市によると、サイトでの手続きは順調だった一方、電話は終日つながりにくかった。

 集団接種を希望する石巻市伊原津の男性(79)は「10分おきに掛けたが一度もつながらなかった。予約が済まないと落ち着かない。夢にまで見た」と嘆いた。

 20日には65~74歳の約2万3000人の予約受け付けも始めるが、電話回線の増設は難しいという。市の担当者は「ワクチンは十分な量がある。少し待ってから予約してもらえるように周知を図る」と説明した。

 市の担当部署には電話がつながらないことの苦情に加え、医療機関ごとの予約開始時期の問い合わせも相次ぐ。かかりつけ医によって開始時期が違うことも混乱の要因になっているが、医師らの接種が済んでおらず、高齢者接種に取り掛かれない医院も多いためだ。

 最優先とした医療従事者への接種が十分に進まない中、国は4月末に突如、高齢者接種完了の7月末までの前倒しを自治体に要請した。市の担当者は「全ての病院で一斉に始めれば分かりやすいが、それでは間に合わない。国の方針が何度も変わり、混乱させられる」とこぼした。

 東松島市は、34医療機関での個別接種の予約受け付けを10日に始めた。受付開始日を年齢別に5段階に区切り、10、11日は85歳以上を対象にした。市によると、電話がつながりにくい状況も一部あったが、大きな混乱はなかったという。

 予約は2病院を除き直接、医療機関に電話で申し込む。市の担当者は「診療時間内に電話を受けており、対応できない状況もある」と理解を求める。

 接種は17日から順次始める。集団接種の予約受け付けは1日に始め、6日に定員の3420人分(65歳以上の28%)に達した。

 女川町は10日、75歳以上の高齢者約1300人を対象に電話で受け付けを始め、586人分の予約を受けた。職員が輪番で応対し、大きな混乱はなかったが、町民からはつながりにくさの指摘もあった。

 初日だけで接種日の半数が定員に達した。町は予約可能な日程を町のツイッターや防災行政無線で周知している。担当者は「日程の枠の中で調整しながら進めている。電話がつながらない時は時間をおいて掛けてほしい」と呼び掛ける。

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