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「稽古楽しい」 高校の枠超えて芝居 12、13日・石巻「土音」

青春舞台「銀河鉄道の夜」のチラシを手に、芝居できる日を楽しみにする中野さん

 高校の枠を超えて集まった石巻市在住の高校生たちによる舞台「銀河鉄道の夜-ほんとうのしあわせ-」が12、13の両日、同市中央3丁目の土音(どん)で上演される。メインの一人が石巻高3年の中野木綿織(ゆうり)さん(17)。演劇経験は浅いが「土音での稽古が楽しい」と舞台に青春を懸ける。

 宮沢賢治の小説「銀河鉄道の夜」をモチーフにした舞台は「Tie Tone(タイトーン)」が企画した。同市を拠点に活動するパフォーミングアーティストよしだめぐみさん(24)=東京都出身=が昨年12月、立ち上げたエンターテインメント団体。「青春(あおはる)舞台」の第1弾で、地元高校生らに「一緒に舞台を創ろう」と呼び掛けた。

 その声に応えた一人が中野さん。中学時代は剣道部、高校では美術部に所属し演劇との接点はなかった。きっかけは昨年、よしださん演出の2本の舞台に参加したこと。1本は5分ほどの短い作品に出演。もう1本は裏方を務めた。演劇の魅力に触れて「もっと本格的に演じてみたい」と思いを募らせていた時、青春舞台と巡り合った。

 中野さんは「クラスではあまりしゃべらない。でもエチュード(即興劇)に挑んだ時、全然違う人が自分の中にいることに気付いた。新しい発見があった」と驚く。

 稽古のたびに毎回違うキャラを見せる中野さんに、居合わせた仙台市の演劇関係者は「この子、面白い」と太鼓判を押したという。

 演出のよしださんは「中野さんたちが高校生活で普段使っている言葉をせりふに生かしたい。高校生バージョンの銀河鉄道にしたい」と語り、脚本の仁田葉月さん(23)=東京都出身=と台本を練ってきた。

 約60分の上演時間に展開するのは、銀河鉄道の舞台を創り上げようとする高校生たちのドラマだ。

 中野さんは「他の高校の人たちと一緒に創るのはめったにない体験で面白い。高校生活で演劇に取り組むのはこれが最後かも。受験勉強に切り替えなくてはならない。進学後も表現することと関わり合うことをやりたい」と強調する。

 本稽古を経て、中野さんたちの青春舞台の幕が上がる。東日本大震災後に街中で始まった芝居の面白い街づくりに10代のエネルギーが躍動する。

 開演は2日間とも午後1時と午後6時。チケット料金は前売りが一般2500円、高校生以下500円。当日は各500円増。連絡先 aoharu-butai@tie-tone.com

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