新型コロナ対策資本性劣後ローン 日本公庫石巻支店、2件目の融資を実施
新型コロナウイルス感染拡大が企業経営に影響を及ぼす中、日本政策金融公庫(日本公庫)が手掛ける経営資本強化に向けたローン制度導入の動きが石巻地方でも出始めている。同公庫石巻支店はこのほど、同地方2件目の融資を実施し、企業の経営資金調達の円滑化を図っている。
同公庫が展開するのは、新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付制度の「新型コロナ対策資本性劣後ローン」。昨年から取り扱い、中小企業、小規模事業者の財務体質強化に向けて資本性資金を供給し、事業運営のサポートに当たっている。
融資は7200万円を上限に、返済期間は5年1カ月、10年、20年の三つを設定。業績に連動した利率や期限一括返済を採用しているのが特長で、月々の資金繰りの負担軽減を図る。金融機関の資産査定上、自己資本ともみなされる。
今回、同ローン制度を導入したのが水産食品製造業の湊水産(石巻市吉野町)。1980年の創業以来、無着色、手漬けを徹底した「たらこ製品」を生産。東日本大震災で被災したが早期に再建を果たす一方、企業内保育の運営、体験学習の受け入れなど、雇用の場の確保や地域貢献を見据えた職場づくりに取り組む。
日本公庫石巻支店は、コロナ禍で難しい経営を余儀なくされながらも新商品開発、販路拡大といった同社の積極姿勢を評価し、ローン制度を施して財務体質改善、運転資金を支援する。
同支店の森秀晃融資課長は「収束が見通せない新型コロナ禍は幅広い業種で経営に影響が生じており、相談も増えた。これまでになかった漁業関係者からの問い合わせもある。ローン制度を通して企業経営や事業発展を後押ししていく」と説明する。