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新型コロナで貸出金増加 20年度決算・石巻信金、石巻商工信組

20年度決算などを報告した石巻信用金庫の総代会
21年度の事業方針などを説明した石巻商工信用組合の総代会

 石巻市を拠点とする石巻信用金庫と石巻商工信用組合の2020年度決算がまとまった。新型コロナウイルスの感染拡大で苦境に立つ事業者などへの融資を積極的に行ったことで、貸出金が大幅に増加。利息などで純利益が伸び、経営の健全性を示す自己資本比率も国内基準の4%を大きく上回る高水準を維持した。

石巻信用金庫

<経常利益、前期比28%増>

 石巻信金の純利益は4億1900万円で、前期を3800万円(10.17%)上回った。貸出金利息の増加や与信関連費用の減少などが後押しした。経常利益は4億2400万円で、前期比9300万円、28.41%の大幅増となった。18日にのぞみ野2丁目の同信金総合相談センターであった総代会で報告した。

 貸出金は777億8100万円。事業者への新型コロナ対策関連資金を中心に住宅ローンなど顧客のニーズに細かく対応したことで、前年を57億4600万円上回った。

 預金残高は前期比118億7300万円減の2025億5800万円だった。一般個人・法人からの預金はともに増加したが、自治体の東日本大震災復興事業預金の減少が響いた。

 自己資本額は前期より5億7400万円増え、自己資本比率は前期比0.2ポイント上昇の28.53%と高水準を維持した。

 昨年9月に開設した登米支店の顧客獲得が好調で、21年度も引き続き同支店や総合相談センターを起点に内陸部への営業を強化する。明石圭生理事長は「全員営業態勢や融資分野に強い人材の育成などにより、相談機能を強化して幅広く地域経済を支えていく」と決意を述べた。

 任期満了に伴う役員改選では明石理事長を含む8人全員を再任。佐藤政博常務理事が専務理事となった。

石巻商工信用組合

<純利益、当初計画上回る>

 石巻商工信用組合の純利益は8900万円で、前期より300万円落ち込んだものの、当初計画の5000万円を大幅に上回った。自己資本比率は前期より4.47ポイント上昇して19.99%となり、より安定した財務基盤を確保した。石巻市千石町の石巻グランドホテルで24日に開いた総代会で報告した。

 事業者への新型コロナ対応融資を推進したことで、貸出金残高は前期比47億円増の626億円となった。貸出金の平均利率は低下したが、利息をはじめとした資金運用収益の増加や経費削減により、本業のもうけを示すコア業務純益は前期比5400万円増の1億2900万円を計上。6期ぶりに1億円台となった。

 経常利益は1億700万円。不良債権処理に関する臨時費用の増加などが影響し、前期より1900万円減った。預金残高は1185億円で、自治体の東日本大震災復興関連預託金の大口払い出しにより前期比280億円減だった。

 21年度は、顧客の経営改善などに関するコンサルティング機能の強化や、ニーズに応える人材育成などに取り組む。収支計画は前期と同じ純利益5000万円を見込んだ。梶谷啓二理事長は「新型コロナの影響で今しばらくは不安定な経済状況が続くだろう。地域の中小企業の経営安定に貢献するべく、全力で支援していく」と力を込めた。

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