県の学校防災アドバイザー派遣制度 大谷地小が活用、安全確立へ
石巻市大谷地小(児童120人)に8日、東北大災害科学国際研究所の佐藤健教授が訪れ、津波警報や大雨警報が出た場合の避難場所や、登下校時に大地震が起きた時の安全確保の方法などを助言した。工学博士で一級建築士でもある佐藤教授の専門的な意見を参考に、同小は地域の特性を踏まえた実効性のある学校防災体制の確立を目指す。
佐藤教授の招聘(しょうへい)は、県が本年度に導入した学校防災アドバイザー派遣制度を活用した。石巻地方の学校では初めて。
北上川に挟まれた同小学校区は用水路や沢が多く、ハザードマップでは津波警報や大雨警報が出た場合、ほとんどが浸水する。児童の7割が自転車通学ということもあり、有事の際の避難場所や登下校時の完全確保が大前提となっている。
このため同小では5月には地震を想定した避難訓練を実施。6月にも下校時避難訓練を重ねるなど児童の安全確保に力を注いでいる。特に5月の訓練では大津波警報が発令されたとの想定で、学校から1.3キロ離れた高台の沢田山にある沢田老人憩いの家まで児童を移動させた。
佐藤教授と県教委保健体育安全課の寺戸太一主査は校長室で鹿野宏美校長、山口正浩教頭、防災主任の鈴木信幸教諭からこれまでの活動について説明を受けた。この後、車で五十五人地区や鶴家、沢田、二子団地といった各地区の登下校時に大地震が発生した時の避難場所を視察した。
沢田老人憩いの家では佐藤教授らが車を降りて現場周辺を確認。佐藤教授は「高台避難の場合、土砂災害の心配なども考えていなければならない」と強調。避難ルートも二の手、三の手と選択肢を広げておくことの重要性を指摘した。
「校舎は2階建てで屋上に上がれない。児童や住民が避難できる憩いの家は貴重な場所、財産になる」と話す一方、地域住民も避難してくる可能性を示唆。「(憩いの家の)広さも限られているので受け入れ態勢の確認や地域住民との協力が必要」と地域ぐるみでの対応の必要性も説いた。
鹿野校長は「専門的な助言は参考になった。今後は地域住民との連携をこれまで以上に深めながら児童の安全確保に努めていきたい」と決意を語った。
同小でリーダー役を担う6年生は防災意識の高揚や災害に対する心構えを養ってもらうため、防災マップ作製に取り掛かる。