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震災題材に朗読劇 歌手・白崎さんのライブも 石巻

東日本大震災を題材にした朗読劇を熱演する出演者

 東日本大震災を題材にした朗読劇&ライブ「まつろわぬ民2021・更地のうた」が、石巻市立町2丁目のライブハウス「ラ・ストラーダ」であった。酒田市出身の歌手、白崎映美さんらが出演し、震災から10年が経過した東北地方への思いを表現した。

 「まつろわぬ」とは「服従しない」といった意味があり、演劇集団「風煉(ふうれん)ダンス」主宰の林周一さんが作・演出を務めた。物語は、がれきを集めたようなごみ屋敷に住む、古代の蝦夷(えみし)がモチーフの女主人を白崎さんが演じ、古代の東北と現代を行き来しながら、権力に抗する人々の姿が描かれている。

 物語は復興にはほど遠く、いまだに避難生活を余儀なくされている帰宅困難地区や、家屋が取り壊された更地などで進み、観客は「復興」「震災の風化」といったメッセージ性の強い世界観に引き込まれていた。

 震災後に石巻市から涌谷町に引っ越した佐藤和子さん(73)は「原発事故や津波などの災害はなかったことにできない。改めて忘れずに伝えていくことが大事だと思った」と話した。

 朗読劇後には「上々颱風(シャンシャンタイフーン)」のボーカルとして活躍した白崎さんによるライブもあった。

 劇のタイトルにもなっている「更地のうた」や上々颱風時代に歌ったジブリアニメ「平成狸合戦ぽんぽこ」の主題歌「いつでも誰かが」などが披露された。

 朗読劇とライブは7月25日の東京を皮切りに、福島県、山形県、仙台市を回り、8月4日の石巻市で打ち上げた。白崎さんは「震災から10年の節目だが、五輪も重なり被災地に目が向かなくなっている。東北に住む人たちの思いを共有し、つながりを持ち続けるためにイベントを続けたい」と話した。

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