被災跡地を里山に 住民主体で土壌改良から着手 北上町十三浜
東日本大震災の津波で被災した集落跡地を住民主体で緑豊かな里山にしようという取り組みが24日、石巻市北上町十三浜で始まる。「平地の杜づくり」と銘打ち、樹木が成長するために不可欠な土壌の環境改善から着手する。
北上地区の復興まちづくりに取り組んできた一般社団法人ウィーアーワン北上が、住まいを高台に移した住民らと協力して進める。人々が憩い、交流できる場を目指す。
十三浜長塩谷の集落跡地で取り組みを進める。かつて宅地だった場所の土は硬く締まり、雑草しか生えなくなっている。痩せた土地を豊かにする「土中環境」整備の第一人者、千葉市の造園業高田宏臣さんの指導を受ける。
地面に溝と縦穴を掘り、水と空気を取り込み、地区内で集めた枝葉や稲わらなどを土の中に配置する。徐々に有機物を餌とする微生物がすみ着き、さらにミミズなどが土質の改善を助ける。軟らかくした土に広葉樹を植えると、回復する地力で大きく育ち、落ちた葉は腐葉土となり、豊かな林地に育つという。
長塩谷は震災前、59世帯230人が住んでいた。津波被害を受けた後、災害危険区域となり、他地区に移住した世帯が多い。隣接する高台に住居を移したのは8世帯18人にとどまる。
ウィーアーワン北上の佐藤尚美代表(48)は「北上地区には放置されたままの跡地が多くある。住民の力で可能な手法で、継続して取り組みたい」と話す。
石巻地方沿岸部には、住宅が建てられない災害危険区域が広がり、北上地区にも点在する。多くを市が取得し、活用を地域住民と検討しているが、展望が開きにくい状況が続く。
作業は4日間の日程で行う。26日を除く3日間は、ボランティアも募集している。26日午前9時から午後3時には現地で公開ワークショップを行う。参加費は高田さんの著書と昼食代などで5000円。詳しくはウイーアーワンのフェイスブックなどで確認する。
連絡先は佐藤代表090(8030)3767。