【特集】やっぱり酒が好き vol.1 酒と料理の相性を大調査
10月1日は「日本酒の日」。実りの秋に、好きな日本酒をさらにおいしく楽しみたい。そこで最近耳にする「ペアリング」(酒と料理の相性)を、宮城の酒の研究開発、蔵元指導に長年携わってきた宮城県の橋本建哉さんに教わった。
意外な相性楽しんで
酒を5つに分類
橋本さんは宮城県産の地酒を、含まれる酸とうま味成分アミノ酸の量、香り、味わいの特徴、それぞれと相性の良い料理などで5つに分類(右図)。中にはバターやチーズなど、日本酒と合わせるには意外に思えるものも。「タイプ1の特徴の〝華やかな吟醸の香り〟は、実は乳製品となじみがいいんです。カマンベールチーズをちょっと焼いて溶けたところに野菜をディップすると、ぴったりのおつまみになりますよ」
2と3の違いは酸とアミノ酸の割合。「2はアミノ酸に対して酸をしっかり感じるお酒。赤身の刺し身やカキなど磯の香りが強いものと一緒に飲むと、酸の角が取れ、口中で一体感が生まれます」。一方、酸が穏やかな3は、白身の刺し身や笹かまぼこなど、うま味があり風味の柔らかい料理と合わせると、うま味との相乗効果と余韻を楽しめるという。
蔵の立地参考に
「酒からその蔵の社長の食卓が透けて見えます」と橋本さん。「社長が酒の味を決め、現場がそれに応えようと優れた技術で酒を造る。蔵元の食卓に合う酒になるのは必然です」
海沿いの地域では新鮮な魚が頻繁に食卓に並び、内陸地域では野菜や肉料理が比較的多いはず。酒選びに迷ったら、蔵の立地を調べて合わせるのも一つの手だ。酒と食のどんぴしゃな相性探し。皆さんもこの秋楽しんでみて。
【取材協力】
〈タイプ1〉 八重樫酒店
3代目店主が選んだ宮城の地酒、県外のマニアックな銘柄がそろう
仙台市宮城野区二十人町307-13 TEL022-256-3363
営/月~土曜9:00~21:00、日曜、祝日10:00~19:00
休/第1・3・5日曜
〈タイプ2・3・4〉 むとう屋
地酒とつまみ、酒器が豊富。今年3月JR仙台駅1階tekuteせんだいにオープンした仙台駅店で角打ちもどうぞ
松島町松島普賢堂23 TEL022-354-3155
営/9:00~17:00 休/水曜
●仙台駅店
青葉区中央1-1-1 仙台駅1階 TEL022-796-8815
営/10:00~20:00 休/無休
〈タイプ5〉 阿部酒店
創業110年の老舗。宮城の地酒の他、全国の希少な銘柄も取り扱う
仙台市青葉区川内亀岡町12 TEL022-223-9037
営/月~土曜9:00~21:00、日曜、祝日9:00~19:00
休/無休
【宮城県WEB物産展】
宮城県が大手通販サイト楽天市場に開設したお取り寄せサイト。約3000点を販売している。問/県食産業振興課 TEL022-211-2815
【宮城県酒造組合WEBサイト】
各酒の酸度、アミノ酸度などのデータを公開。紹介した酒以外の情報もあるので、ぜひ活用を
Written by 佐藤 陽子 Photo by 鈴木 信敏(表紙)
(河北ウイークリーせんだい2021年9月30日号掲載)