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自民新総裁に岸田氏 経済活性や原発対応、次期政権に期待と注文 石巻地方

 自民党は29日、総裁選の投開票を実施し、岸田文雄前政調会長(64)が決選投票で河野太郎行政改革担当相(58)を破って第27代総裁に選出された。10月4日に臨時国会で菅義偉首相(72)の後継となる第100代首相に指名され、新内閣を発足させる。高市早苗前総務相(60)、野田聖子幹事長代行(61)を含む4氏による総裁選の論戦を踏まえ、石巻地方の関係者からは次期新政権への期待と注文の声が上がった。

 石巻地方の経済は新型コロナウイルス感染拡大で大きな打撃を受けている。石巻商工会議所の青木八州会頭は行動制限緩和の議論に注目してきた。「ワクチン接種が完了した人から制限を緩和し、経済を活性化すべきだ」と注文する。

 一方、東日本大震災からの復興は総裁選の争点にならなかった。「二重ローン問題を抱える中小企業も多く、震災はまだ終わっていない」と強調。「被災地に足を運び、柔軟な対応をお願いしたい」と新総裁に求めた。

 石巻地方では東北電力が女川原発2号機(女川町、石巻市)の再稼働を計画する。岸田氏は再稼働を進める立場。総裁選ではエネルギー政策が議論されたが、脱原発を訴えていた河野氏が再稼働容認に転換し、主張の違いは曖昧になった。

 石巻市の市民団体「女川原発の避難計画を考える会」の原伸雄代表(79)は「誰が総裁になっても原発依存の政策転換は期待できなかった」と語る。総裁選での論戦が次期衆院選につながることを期待し「エネルギー政策は国民的な議論が必要だ」と望んだ。

 東京電力福島第1原発の処理水を海洋放出する政府方針には、石巻地方でも反対の声が相次いでいる。県漁協石巻総合支所の木村千之運営委員長(68)は岸田氏を「実績があり、協調を重視している」と評価した一方、「海洋放出に慎重な意見を示した高市氏にも期待していた」と複雑な思いを明かした。

 風評被害は既に発生していると捉え「正式に決まれば経済的なダメージは今以上」と方針の撤回を求める。「1次産業に目を向け、地方で頑張る人を応援してほしい」と注文した。

 子ども関連政策を担う専門官庁の設置も議論になった。子育て支援事業に当たる石巻市のNPO法人ベビースマイル石巻の荒木裕美代表理事(42)は「各候補とも必要性を認めていた。官民協働も大切で、きっちり民間につないでくれる仕組みを求めたい」と話した。

 「今や子育てイコール女性ではないが、女性の活躍をより図るためにもしっかりした子育て支援が必要。子どもの声も反映してほしい」と求める。2人の女性候補については「勇気をもらった。女性の発信力が高まるのでは」と期待した。

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