石巻で「海づくり大会」 震災から10年、復興の姿示す 3日
県内で初めてとなる「第40回全国豊かな海づくり大会-食材王国みやぎ大会」が3日、式典行事は市複合文化施設(マルホンまきあーとテラス)、海上歓迎・放流行事は石巻魚市場・石巻漁港で開かれる。関係者らは「東日本大震災から10年の節目の年に最大の被災地である石巻での開催は意義深い」と口にする。オンラインでの天皇陛下ご臨席の下、全国から訪れる招待客に復興した姿と支援に対する感謝の気持ちを伝える。
大会テーマは「よみがえる 豊かな海を 輝く未来へ」。豊かな自然と歴史ある文化に育まれた宮城の魅力を全国に発信する絶好の機会となる。
式典はプロローグとして映像で宮城の豊かな海と震災からの復興支援に対する感謝の気持ちを表現する。 天皇陛下ご臨席、黙とうの後、大会旗が入場。私立ひばり幼稚園児の鼓隊演奏が先導し、旗手は宮城水産高、補助員などは市桜坂高の両校生徒が務める。
大会会長の村井嘉浩知事のあいさつ、斎藤正美市長の歓迎の言葉に続き、オンラインでの天皇陛下のお言葉もある。功績団体などの表彰や最優秀作文の発表、イワナ、マガキ、エゾアワビ、ノリなどの稚魚、稚貝等の紹介、海づくりメッセージの発表などもある。
石巻魚市場西棟1にはモザイクアート展示や、おもてなしエリアなどを設ける。石巻漁港では漁船、官公庁船による海上パレード、雄勝町伊達の黒船太鼓保存会の演奏、石巻市寄磯小児童による「誓いの言葉」がある。石巻南浜津波復興祈念公園内の「みやぎ東日本大震災津波伝承館」では、天皇陛下が被災者らと画面越しに懇談する。
大会は当初、2020年9月27日の予定だったが、新型コロナウイルスの影響で1年遅れとなっていた。
<寺崎はねこ踊り、動画で披露>
式典行事プロローグ「創造的復興の海への新たな船出」で上映される動画に、県指定無形民俗文化財である石巻市の「寺崎はねこ踊り」が選ばれた。
「東日本大震災を乗り越え、宮城の海の豊かさを創りだす人々の輪」をテーマに、約20分にまとめられた動画の一部。保存会の佐々木一会長は「動画を通して、石巻市や寺崎はねこ踊りのことを少しでも知ってもらえればうれしい」と語る。
動画収録は7月18日に石巻漁港岸壁であった。佐々木会長はじめ、中学生や高校生を含む踊り手8人、演奏、着付け12人の計20人が参加した。
うだるような暑さの中、笛や鐘、太鼓の演奏に合わせて「ソレ!ソレ!」の掛け声と扇子を振りながら3演目を熱演。動画には「ばかばやし」が盛り込まれた。
佐々木会長は「いい演奏と踊りができた」と上映を楽しみにしている。
<寄磯小4人、元気よく誓いの言葉>
「わたしたちは、今日、お魚いっぱいの豊かな海になるよう願いを込めて稚魚の放流を行いました」、「この美しく豊かな海を復興への感謝の気持ちと一緒に守り、そだてていきます」 海上歓迎・放流行事で誓いの言葉を述べるのが石巻市寄磯小の6年浜畑侑生君、渡辺洸成君、5年阿部聖生君、渡辺ひらりさんの4人だ。
浜畑君は「力を合わせて元気の良い言葉を発したい」、渡辺さんも「大きな声を心掛けてしっかりと伝えたい」と、抱負を語る。
既に全員が誓いの言葉を暗記し、当日はノー原稿で大役に挑む。黒須功太郎校長は「寄磯小の元気な姿をアピールしてください」とエールを送っている。
<「海づくりメッセージ」発表>
水産業に携わる中で得た経験や感じている思いなどを伝える「海づくりメッセージ」を発表する。「自分らしく仕事の魅力を語りたい」と自然体で臨む。
埼玉県狭山市出身の元教員。東日本大震災後、両親の実家がある石巻市にボランティアで訪れた。2013年に石巻に移住。教員をしながら漁業を学び、18年に水産一本の道を選んだ。
石巻市内の水産会社でワカメやコンブ、ホタテなどの養殖業に携わる。経験を積むことで、担える幅も広がった。
水産業の課題に高齢化を挙げる。「浜の人は何でもできるが、いなくなったら文化が衰退する。それは避けたい」と話す。「自分が転身したように、誰にでもチャンスはある。若い世代にメッセージを届けたい」と願う。