閉じる

石巻で一箱古本市 好きな作品求め、中央商店街にぎわう

段ボール箱一つ分の本を並べた店が街中に出現、本好きの市民らで活気づいた=アイトピア通り

 「第10回石巻一箱古本市」(石巻まちの本棚主催)が2日、石巻市の中央商店街で開かれた。東日本大震災の翌年、2012年に始まり、震災後の石巻の街に新しい形の本文化として浸透した。本好きの輪は今後も広がりそうだ。

 一箱古本市には地元をはじめ県内外から約30店が、アイトピア通りを中心に10カ所に出店。秋晴れの下、段ボール箱一つ分の本を持ち寄って商店街の軒下などでそれぞれ販売した。

 店によって絵本だったり小説、エッセーだったりと特色があるため市民らは通りを行ったり来たり。「店主」も子どもから出版社のプロまでと個性的。市民は店主と本の話に花を咲かせながら、珍しい本との出合いを求めた。

 蛇田地区から足を運んだ千葉香織さん(50)は英語と日本語を併記した本を手に入れた。「一箱古本市に来たのは初めて。にぎわいを感じる。これから同級生が出店している場所に行く」と、本のある街を歩くことを楽しんでいた。

 出店者の一人、遠藤吉夫さん(61)は利府町から旧観慶丸商店(中央3丁目)内に出店。「実家が閖上だったので震災時、保管していた私の蔵書も津波でやられた。同じ被災地である石巻の街を、好きな本で活気づけたい」と強調した。

 独自に古本市を企画した団体もある。石巻まちの本棚2階にアートギャラリー「setsu(セツ)」を開設した日野淳さん(44)=口笛書店代表=ら3人。石巻を活動拠点にしているアーティストら約40人から出品してもらった古本をセツに展示。彼らの横顔紹介も兼ねたユニークな企画で、一箱古本市の盛り上げに一役買った。

関連タグ

最新写真特集

石巻かほく メディア猫の目

「石巻かほく」は三陸河北新報社が石巻地方で発行する日刊紙です。古くから私たちの暮らしに寄り添ってきた猫のように愛らしく、高すぎず低すぎない目線を大切にします。

三陸河北新報社の会社概要や広告、休刊日などについては、こちらのサイトをご覧ください

ライブカメラ