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秋の褒章・叙勲 地域社会に貢献 石巻地方11人の喜びの声

 2021年秋の褒章、叙勲受章者が3日付で発令された。石巻地方では、業務精励や公益に貢献した人への褒章が3人、その道一筋に励み、地域に貢献した9人が叙勲に輝いた。

 このうち11人に喜びの声を聞いた。

◇黄綬褒章(業務精励・建設業)
県建設業協会副会長石巻支部長 若生保彦さん(66)=石巻市中里7丁目
 東日本大震災からの復旧、復興に当たる地域建設業界をまとめてきた。「きょう、あすの話はできても1週先は見えなかった」と、当時を振り返る。「受章は私でいいのかというのが正直な思い」と語る。これまで大手でなければできないとされてきた大きな工事を地元で手掛けた。「業界で共有できる自信と実績になった。目に見える形で復興を伝えられたのがうれしい」と表情を緩める。「災害復旧に当たる際は『昼夜惜しまず』が業界のDNA。次の世代にしっかり伝えていきたい」


◇藍綬褒章(調停委員功績)
調停委員 荒川周敏さん(66)=石巻市大街道西2丁目
 「妻の理解と協力なしには活動してこられなかった。受章に当たり、感謝の思いが大きい」と語る。40代から仙台家庭裁判所石巻支部で調停委員を務め、主に家庭内の争いを担当。当事者同士の話し合いを仲介し、サポートに奮闘してきた。少しでもバランスの取れた合意を目指すため、和解までのプロセスに重きを置き、双方の話に平等に耳を傾ける。「誰しも紛争の当事者になり得る社会の中に、司法のサービスとして調停制度がある。より多くの人に知ってもらいたい」と話す。


◇藍綬褒章(更正保護功績)
保護司 木村功一さん(75)=石巻市北村中沢
 農業の傍ら、保護司として28年にわたり保護対象者の更正や社会復帰をサポートしてきた。「仲間の保護司の皆さんや妻の協力のおかげで続けられた」と感謝する。相手がリラックスして話せる環境づくりを心掛けてきた。面接は妻の蓉子さん(76)も交え、自宅でお茶を飲みながらのんびり行う。通ううちに帽子を脱いであいさつするようになるなど、対象者の小さな変化に喜びを感じる。来春、定年を迎える。「これまで通り、気負わずに務めたい」とほほ笑む。


◇旭日双光章(保健衛生功労)
元一般社団法人桃生郡医師会会長 伊東正一郎さん(75)=東松島市赤井鷲塚
 「受章には驚いた」と語る。2010年から14年まで会長を務めた。東日本大震災後は地元の被災した医療施設の再建に尽くし、約1カ月で診療再開にこぎ着けた。「会員をはじめ、行政、住民と地域の力を合わせた結果」と振り返る。現役の医師。「これからも地域の人の健康を見守っていきたい」と話す。


◇旭日双光章(地方自治功労)
元石巻市議 千田直人さん(73)=石巻市桃生町太田薬田
 「長年にわたって私を支えてくれた多くの市民のみなさんのおかげと思う。感謝したい」。1999年から旧桃生町議時代の2期を含め、市町合併後も市議に連続当選。通算6期19年間務め、70歳で引退した。「道路整備や農業環境整備などに取り組んだことが思い出」と懐かしむ。


◇旭日単光章(林業振興功労)
山林種苗生産業 斎藤豊彦さん(70)=東松島市赤井関の内
 東日本大震災で壊滅した海岸防災林の復旧に貢献し、2017年に日本農林漁業振興会長賞を受賞。県農林種苗農業協組役員を歴任、スギやマツなどの種苗生産、マツクイムシに強い品種、少花粉スギ苗の開発に取り組んできた。「思わぬ受章で光栄。白砂青松の美しい日本の海岸線を今後も守っていく」


◇瑞宝双光章(社会福祉功労)
元「第二共生園」施設長 菊池昌三さん(73)=東松島市矢本町浦
 石巻市で知的障害児の共生施設を運営したのを機に半世紀以上、障害者福祉に貢献してきた。創立した妻の故理子さんの熱意があってこそと謙遜し「本来は妻が受章したはず」と語る。社会福祉法人矢本愛育会の理事長として障害者や高齢者の施設、保育所など幅広く運営する。「多くの方に支えられ今がある。感謝したい」


◇瑞宝双光章(社会福祉功労・更生保護功労)
民生・児童委員保護司 境政幸さん(74)=石巻市中央1丁目
 「亡父も35年前に薬事功労で受章し、親子2代にわたる名誉に感激している」。薬店経営の傍ら、石巻市民生・児童委員を35年、保護司を34年務め、現在は同市民生児童委員協議会長と県協議会副会長を兼務する。「今日までご指導いただいた全ての方に感謝したい。地域社会の福祉増進のため、今後も一層努めたい」


◇瑞宝単光章(消防功労)
元石巻市消防団副団長 高橋周一さん(70)=石巻市蛇田中埣
 20代前半から40年以上、消防活動に尽力。東日本大震災時は、体調不良の住民を病院に搬送するなどした。「地域の応援があって続けられた」と感謝する。近年の石巻市は火災が少なくなったと喜ぶが、消防団員の減少を心配する。「若い世代を中心に興味を持ってもらえる組織になってほしい」と思いを語る。


◇瑞宝単光章(海事関係功労)
元第18日之出丸漁労長兼通信長 橋本雄太郎さん(74)=女川町鷲神1丁目
 カツオ一本釣り漁船に52年間乗船し、通信長を18年、漁労長を34年務めた。「外国人が多い乗組員のチームワークと安全に気を配るようにした」と振り返る。漁獲生産や後進の育成にも力を注ぎ、「海のことばかり考えてきた」と笑う。「受章は船主と乗組員、苦労を掛けた女房の協力のおかげ」と感謝する。


◇瑞宝単光章(消防功労)
元石巻市消防団副団長 平塚 秀正さん(70)=石巻市狐崎浜狐崎屋敷
 漁業の傍ら、消防団活動を続けて35年。「受章は家族の理解と団員の協力のおかげ」と謙虚に喜ぶ。地元の狐崎浜地区は石巻地区消防本部の各拠点から遠く、初期消火を担う消防団の役割が大きい。「火災の時は人一倍動けと言われ、地区の防火意識は高い。日ごろの訓練が何よりも大切だ」と後進を激励する。

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