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令和決戦の実相・衆院選宮城5区(上)安住陣営 知名度抜群も「風」警戒

支持者とグータッチする安住=10月19日、松島町

 10月31日投開票された第49回衆院選。宮城5区は、立憲民主党前議員で党国対委員長の安住淳(59)が、自民党新人の森下千里(40)=公明推薦=を破り、9選を果たした。財務相も経験した党幹部と、元タレント候補の一騎打ちは全国からも注目を集めた。選挙に強い安住と、議席奪還に燃える自民がてこ入れした森下の「令和決戦」の実相を探った。

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 公示日の19日、安住は新型コロナウイルスで観光が打撃を受けた松島町から遊説をスタートさせた。

<打倒「1強政治」>

 2017年10月以来の衆院選。自民の「1強政治」を終わらせ、国会で与野党が伯仲する政治状況をつくり出すチャンスと高揚感に包まれていた。

 第一声で「政府のコロナ対応は後手後手に回った」と批判し、「岸田政権は安倍・菅政権の延長だ。今こそ、政治を刷新し、新しい時代に導くため、先頭に立って必死で頑張る」と声を張り上げた。

 その日の夕方、安住は街頭演説のためJR石巻駅前にいた。4月の石巻市長選で支援し当選した市長の斎藤正美が駆け付け、「安住先生と石巻のために頑張る」と連携を演出した。

 強固な後援会を持つ斎藤が応援し、自民支持層の票が一定程度安住に流れた。一方で、斎藤との接近で従来の安住票の一部が離れた。かつて衆院選で3度戦った。今回の選挙で連携効果が十分出たとは言い難い。

<応援で全国奔走>

 接戦区の応援で全国を駆け回り、26日5区入りした安住。声はかすれ、疲労の色が濃かったものの、6カ所で個人演説会に臨んだ。

 約100人が集まった河北総合センター。「政治を動かし、政策を変えるのは国民の1票。野党が強くなれば、日本の政治は良くなる」と気力を振り絞った。

 安住と森下が「互角の戦い」と報じた新聞記事を県議の坂下賢が紹介すると、会場から「え~」という驚きの声。「タレントの人気投票ではない」と坂下。安住への支援を呼び掛けた。

 8期連続当選の安住に死角はあるのか。コロナ禍で総決起集会を開くこともできず、握手もできないなど制約のあった選挙戦。選対本部長の青山久栄は「安住は大丈夫というのが怖い。風が吹けば潮目が変わる」と警戒を緩めなかった。

 抜群の知名度と豊富な政治経験に加え、党幹部として発信力を強める。二大政党制の実現を目指し、失敗と挫折を繰り返しても挑み続ける胆力もある。

 早々と当確が出た31日、石巻グランドホテルに集まった支持者を前に安住は「大変厳しい選挙だった」と振り返り「在職26年目になるが、新たな気持ちで頑張りたい」と決意を述べた。

<区割り再編視野>

 石巻市がメインとなる宮城5区は区割りが再編され、次回の衆院選から適用される見通し。無敵の安住も正念場を迎える。「震災で人口減少が加速した被災地の特殊事情を考慮していない再編は納得できない」

(敬称略)

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