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震災支援 秋田の農家・岩渕さんコメ贈る 10年前、女川の子どもたちと約束

岩渕さんのコメを使った給食を食べる児童

 「10年以内にもう一度贈るから」。大館市の農業岩渕一男さん(79)は東日本大震災が起きた年の11月、被災した当時の女川一中(現女川中)にコメを贈り、子どもたちと約束を交わしていた。それから10年後、女川小・中(児童207人、生徒102人)に約束のコメとリンゴが届き、学校給食で提供されている。

 岩渕さんが贈ったのは農園で栽培したあきたこまち600キロと大館市内で購入したリンゴ60キロ。コメは今月中旬までご飯として提供される予定で、リンゴは食パンに載せて焼く「アップルボード」などとして2回使われた。

 11月26日にはご飯とリンゴがそろって登場した。子どもたちは「ハッシュドポーク」の皿にご飯を豪快に盛り付けるなどして頬張った。

 小学2年の高橋世亜さん(7)は「ご飯はもちもち、リンゴはシャキシャキ。どっちも甘くておいしかった」とにっこり。中学3年の八巻英仁さん(15)は「10年も前の約束をしっかり守ってくれて素晴らしいと思った」と話した。

 岩渕さんは2011年11月、女川の子どもたちを励まそうとコメを積んだトラックを自ら運転して届けた。コメはおにぎりにして約200人の生徒に配られ、生徒たちは校歌を歌うなどして感謝。岩渕さんは「子どもたちのはつらつとした姿に反対に元気をもらった」と振り返る。

 その時、再びコメを贈ると約束したが、事情があって果たせずにいた。岩渕さんは今回、新型コロナウイルス禍のため直接届けることを控えた。電話取材で子どもたちの給食の様子を伝えると「そんなに喜んでもらえると思っていなかった」と述べ、約束を果たしたことにほっとしたようだった。

 同校は感謝の気持ちを込め、近く全校児童生徒が書いたメッセージや給食中の写真を岩渕さんに贈る。

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