災害援護資金 東松島市、未納の債務者提訴へ 長期間連絡取れず
東松島市は3日、東日本大震災の被災者に貸し付けた災害援護資金について、返済の意思がみられない県外在住の男性に少額訴訟を起こす方針を明らかにした。法的措置に踏み切るのは市として初めて。定例記者会見で明らかにした。
市によると、男性の祖母が2012年に100万円を借り、19年に死亡。男性が債務を相続し、52万円の納付期限を迎えたが一切返済されていない。市は督促状や電話などで数十回接触を試みたが20年3月以来、連絡が取れないという。
市全体の貸付件数は593件計12億235万円。これまで159件3億5170万円が返済された。10月末現在、納付期限を迎えた403件3億8082万円のうち166件8706万円が未納となっている。
災害援護資金は大規模災害で自宅が全半壊するなどした世帯に市町村が最大350万円を貸し付ける制度。期限内に納付されなければ、市が立て替えて国に返済しなければならない。
渥美巌市長は「市民の税金を充てるのは問題。連絡が付けば返済計画や相続の相談に応じているが一切反応がなく、やむを得ず訴える方針に踏み切った」と説明。議会の承認が得られれば年内にも提訴し、今後、同様の未納者には法的手続きを取る方針。