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うま味と香りのハーモニー 【特集】滋味あふれる セリの誘惑

新鮮なセリを昆布、かつお節、カモ肉、醬油ベースのだし汁にさっとくぐらせていただくのが、青葉区の居酒屋いな穂の「せりしゃぶ」。セリの香りとうま味が後を引く。セリは1人前約150g。締めはラーメン、餅、うどん、ご飯の中から1品選んで残っただし汁に投入。すべてを味わい尽くせば、至福のひとときが待っている

 寒さが厳しくなるにつれて、セリのうまさが増していく。宮城県はセリの生産量が415tで日本一(2018年度、農水省調査)。とりわけ豊富な湧水に恵まれた名取市上余田、下余田地区や石巻市河北地区では生産が盛んだ。春の七草の1つでもあるセリのお勧めの食べ方や栄養価などを、料理店主やセリ農家、有識者らに聞いた。

うま味と香りのハーモニー

いな穂の伊東一良さん

 宮城県内で近年、飲食店を中心にメジャーになってきた「仙台セリ鍋」。シャキシャキして香りあるセリの葉や茎、滋味深いしっとりした味わいの根っこのハーモニーに箸が止まらなくなる。

 セリ鍋ブームを仕掛けたのは、名取市で代々セリ栽培を続ける三浦農園の三浦隆弘さんと、青葉区の居酒屋「いな穂」。三浦さんが十数年前、セリの消費拡大を図ろうと、懇意にしていた「いな穂」の当時の店主に相談して、「せりしゃぶ」の名前でメニュー化した。

 現在の店主伊東一良さんは「うちではシンプルにセリを味わえるよう、昆布とかつお節のだし汁にカモ肉を入れ、醬油などで味を調えたスープで、しゃぶしゃぶして召し上がってもらっています」と話す。

 根っこ部分は鍋に入れて10~15秒、茎や葉は数秒で食べ頃。煮込むと食感や香りが飛んでしまうという。

 家で鍋をするときは「カモ肉じゃなくて鶏や豚肉、魚のあらでもOK」と伊東さん。セリは力強い味なので、しっかりだしを取ったスープだとバランスがいいとか。

 「豚肉をしゃぶしゃぶしてセリを巻いて食べてもうまい。家庭でもセリを気軽に味わえるごちそうです」と伊東さんは話す。

いな穂
仙台市青葉区中央1-8-32 名掛丁センター街東
営/15:00〜23:00
休/日曜(翌月曜が祝日の場合は営業、月曜休み)
問/TEL022-266-5123

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Photo by 磯崎 亮
(河北ウイークリーせんだい1月13日号掲載)

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