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来訪者を安全に誘導 石巻・南浜、門脇地区で津波避難訓練

祈念公園から高台へ避難する参加者たち
訓練後の振り返りで、課題や解決策を話し合う参加者

 石巻市の「石巻南浜津波復興祈念公園」と4月に一般公開される市震災遺構・門脇小の来訪者に対する災害時の避難誘導訓練が11日、南浜・門脇地区であった。公益社団法人3・11みらいサポートと地元の「かどのわき町内会」の共催。県外からの来訪者の案内役などを設け、土地勘のない人への対応を実践し、課題や改善点を話し合った。

 震度6強の地震が発生して津波警報が発令、20分後に13メートルの津波が来るとの想定で地域住民や行政関係者ら約30人が参加。3チームに分かれて取り組んだ。

 公園内の「みやぎ東日本大震災津波伝承館」での被災を想定したチームは、公園管理者と来訪者の役を務め、旧門脇小西側の避難路から緊急避難場所・避難所となっている市桜坂高を目指した。途中で起きた余震で待機したり、「車を取りに戻りたい」などと引き返そうとする人を落ち着かせたりしながら到着。避難までに16分かかった。

 参加した同校の遠藤義幸教頭から、体育館が土砂災害警戒区域に指定されていることについて説明があった。遠藤教頭は「体育館に避難して良いものか市に確認中。現状は悪天候でもグラウンドに避難することになる」と話した。

 チームは同時に東北電力女川原発(女川町、石巻市)で原子力災害が起き、放射性物質が放出されたという事態も想定。一時集合場所の同校からは車のない人は仙台市にバスで避難することになる。同校に面する道路は幅が狭いため避難車両による渋滞も予想され、バスが来るのか不安視する人も。「津波と原発事故を複合的に考える必要がある」との意識を高めた。

 参加者は訓練後、門脇東復興住宅集会所で改善点などを協議した。「実際に避難路を歩いてみることが大切」「土地勘がなくても迷わないように避難路に誘導サインを設けてはどうか」「避難への意識が薄いと思われる来訪者には事前に地域の災害特性を伝えることが重要」といった意見が出た。

 避難訓練は今回で3回目。みらいサポートの中川政治専務理事は「行政や地域住民、伝承施設の運営者が参加したことに意味がある。来年以降も続けたい」と話した。

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