閉じる

石巻で県内語り部プロジェクト 南三陸の及川さん、高齢者を先導し避難

南三陸町の震災語り部活動について話す及川さん

 公益社団法人3・11みらいサポートが主催する県内語り部プロジェクトが19日、石巻市の石巻南浜津波復興祈念公園内にある「みやぎ東日本大震災津波伝承館」であった。12回目の今回は、南三陸町観光協会事務局長の及川和人さんが「南三陸町の震災伝承」と題して話した。

 震災当時、及川さんは町中心部にいて小高い丘に避難。その後、さらに高台へと移動し、津波が町を直撃するさまを見た。「最初に避難した丘は水没した。高齢者を先導する形で急いで避難した」と「より高く、より遠く」へ避難したことで助かった経験を口にした。

 「前の日まであったまち並みが全くなくなっていた。観光の仕事に携わっていたが、二度とその仕事はできないだろうと思った」と当時を振り返った。

 被災した場所には住めないことから「職住分離」でまちづくりを進めた過程を説明。及川さんは「震災の翌月から商店主らが『何もしなければ物事は進まない』と復興市を始め、支援で訪れた人たちに被災の様子、教訓を伝える語り部活動を始めた。それが現在も続いている」と語った。

 「活動を充実、継続させていくため地域を学ぶ講座を通して、ガイドのスキルを高めている」と強調。現在は被災当時の様子や復興の歩みを話し、最後に商店街を案内している。「タクシー語り部」「まちあるき語り部」、震災発生後1日目を疑似体験する「防災キャンプそなえ」などのメニューを充実させた。

 新型コロナウイルス禍でオンラインやバーチャル語り部にも取り組む様子を紹介。及川さんは「人的交流で町の活性化に役立っている。震災の教訓を風化させず、後世に伝えるため、さらに工夫を重ねたい」と述べた。

県内語り部プロジェクト - 3.11みらいサポート

関連リンク

関連タグ

最新写真特集

石巻かほく メディア猫の目

「石巻かほく」は三陸河北新報社が石巻地方で発行する日刊紙です。古くから私たちの暮らしに寄り添ってきた猫のように愛らしく、高すぎず低すぎない目線を大切にします。

三陸河北新報社の会社概要や広告、休刊日などについては、こちらのサイトをご覧ください

ライブカメラ