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3.11 タイサンボクの葉に思いのせ、相馬の海へ 女川小児童が協力

女川小2年生がメッセージを書いた葉
タイサンボクの葉にメッセージを書いた女川小の2年生
女川町役場に設けられたメッセージの記入スペース

 東日本大震災から11年となる3月11日、相馬市の原釜尾浜海水浴場で、犠牲者の鎮魂や震災への思いを書いたタイサンボクの葉約5000枚が海に流される。震災当時、石巻市に住んでいた主婦永野泉さん(66)=伊達市=らが企画し、女川小児童が授業で葉に思いをつづった。女川町役場でも3月4日までメッセージを募っている。

 葉を海に流す行事は2014年に始まり、今年で9回目。永野さんが女川町の図書館で出合った児童書「じろはったん」に登場するエピソードを模し、宮城、福島両県で実施してきた。

 物語は児童文学者の森はなさん(1909~89年)の代表作で、戦時中の兵庫県が舞台。主人公で知的障害のある青年じろはったんが、戦死した親友の名を書いた紙とタイサンボクの葉を海に流す場面がある。

 永野さんは女川町在住時に町内の図書館でこの本を見つけた。古くなった本を譲渡するコーナーにあり何げなく持ち帰ったが、読んでみると物語に引き込まれ、以来大事にしていた。

 震災当時は石巻市吉野町で夫と弁当店を営んでいたが、津波で自宅兼店舗が全壊。自宅にあったじろはったんが奇跡的に見つかり、「女川でも石巻でも残っていてくれた。がれきの中でも無傷で、頑張って津波に耐えてくれたんだと思った」と振り返る。

 女川小では今月、クラスごとに授業で葉にメッセージを書いた。2年生のクラスでは22日、児童28人が長さ20センチほどの葉に震災への思いや女川の復興状況などを丁寧につづった。

 木村璃音(りおと)君(8)は「震災の時は生まれていなかったけど、お父さんから津波の話を聞いた。未来のために頑張りたいと書いた」と話し、木村ゆりさん(8)は「津波はみんな怖かったと思う。女川をもっときれいな町にしてみんなを幸せにしたい」と語った。

 葉は女川町役場にも用意され、1階の受け付け横に記入スペースを設置している。永野さんは「これまで参加した方に気が楽になった、元気になったと言ってもらえた。じろはったんに出合った女川の方にも、1枚の葉に思いを乗せて書いてほしい」と呼び掛けている。

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