「小さな図書館」親しんで 鳥取の団体など寄贈 女川の街中3カ所
街中に置いた本箱から誰でも自由に本を借りられる「リトル・フリー・ライブラリー」が、女川町内に設置された。米国を中心に世界に広がる取り組み。広く東日本大震災の被災地支援に取り組んできた兵庫県三木市の自営業森田和彦さん(57)が、先進的に活動する鳥取市の任意団体「リトルフリーライブラリーとっとり」との橋渡し役となり、実現した。まず3カ所に設置し、気軽に読書に親しめる機会を提供していく。町教委と町内で学習支援に取り組む女川向学館が運営に協力する。
リトル・フリー・ライブラリーは、公共施設や家庭の庭先などに本箱を置き、本を自由に借りてもらう仕組み。冊数や返却期限などのルールは無い。町内ではJR女川駅前の女川向学館と町観光協会の案内所、町営の「女川温泉ゆぽっぽ」に設置することにした。
リトルフリーライブラリーとっとりから手作りの本箱(高さ約45センチ、幅約30センチ、奥行き約40センチ)が3個、鳥取市図書館から児童書など30冊が贈られ、3月19日に女川向学館で贈呈式があった。鳥取市岩倉小児童からのメッセージも届いた。
町教委の養成講座を受けて「子供司書」として活動する女川小児童ら関係者が出席。オンライン参加したリトルフリーライブラリーとっとりの桑田達也代表は「いい本に出合うことはいい人と出会うこと。女川の皆さんが本と親しめる環境を一緒につくっていきたい」と述べた。本を通して東北との交流を深めていく考え。
女川と鳥取はキュっと音がする鳴り砂がある共通点を持つことから、女川での取り組みは「砂丘の風」と名付けられた。向学館と町観光協会では子どもたちが早速、本を並べた。ゆぽっぽは温泉施設が休業中のため、営業再開後に利用を始める予定。
子供司書の木村葉月さん(10)は「小学校や町のみんなと一緒に大切に使いたい」と話し、同じく遠藤咲歩さん(10)は「観光客の人にも読んでもらいたいし、この活動を知ってほしい」と語った。