震災11年目の人々を撮影、写真集に 石巻に移住の平井さん出版
東日本大震災後、大阪から石巻市渡波に移住し、被災地の家族や日常を撮り続けてきた写真家平井慶祐さん(43)=香川県まんのう町出身=が、震災11年目を生きる人々の姿を写した写真集「10年の幸福写真」を出版した。「10年が節目とされる中、残りづらいであろう11年目の日常を撮りたかった。ページのどこかに共感し、誰かの幸せにつながってくれればうれしい」と語っている。
平井さんは2011年4月、ボランティア団体の記録広報班として石巻市を訪れた。滞在するなかで「地域住民が再起に向かっていく姿を自分が記録しなければならない」と感じて移住を決意。被災者の日常や催しで幸せを感じている瞬間などを切り取ってきた。
写真集は親交のある市民や水産関係者ら40組、計516人の記念写真を約1年かけて撮影。家族の集合写真や、石巻市日和が丘2丁目の鹿島御児神社での七五三参りなど、被写体となる人々が希望する場所や構成で撮り、それぞれが震災後の歩みや大切な人に送ったメッセージも載せた。
発売日の2日は平井さんの誕生日。イオンスーパーセンター石巻東店で出版記念イベントがあり、「渡波獅子風流(ふり)塾」による演舞披露や平井さんのサイン会を行った。
3日もイベントを開き、写真を撮ってもらった家族や渡波地区の住民が駆け付けるなどして出版を祝った。平井さんは「写真集がみんなが集まるきっかけになるかもしれない。見た人たちの間で談笑の輪が広がってほしい」と語った。
A4判、191ページ。4950円。県内を中心に全国の書店で販売されている。30日は仙台市青葉区のアエル1階で発売記念イベントを開く予定。