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地震被害 東松島・蔵しっくパーク休館 日本家屋解体へ

解体が決まった「ひと・まち交流館」。館内から見た日本庭園の美しさが魅力だった
女性たちに人気だった手作り雑貨の販売イベント。多くの来場者が終了を惜しんだ=ふれ愛市民活動プラザ

 東松島市中心部の市民活動拠点として親しまれてきた矢本の蔵しっくパーク(通称くらっぱ〔※〕)が3月末で全館休館した。耐震強度不足を理由に昨年夏から貸館業務を停止していた築約120年の日本家屋「ひと・まち交流館」は、関係者が存続の道を探ってきたが、3月16日深夜の地震で著しい被害を受け、市は解体する方針を決めた。残る建物の利活用や中心部のにぎわい創出を求める声は多く、市の対応に注目が集まる。(相沢美紀子)

 ひと・まち交流館は昨年2、3月の震度5強の地震で床が傾くなどし、調査の結果、耐震基準を大きく下回り、集合施設として危険と判断された。今年3月16日深夜の地震で建物のゆがみが拡大し、市は今月18日の行政経営会議で、本年度いっぱいをめどに解体する方針を決定した。

 今後の方針について、渥美巌市長は「施設の庭園は見事で、市民に開放できるような利活用法を探る」と説明。築18年の「ふれ愛市民活動プラザ」など残す施設は、市関連組織への貸し出しなどを視野に、庁内で使途を検討するという。

 寄贈者の桜井武寛さん(78)は「18年間、多くの人に親しんでもらい感謝している。残る施設はにぎわい創出に役立ててほしい」と語る。16年間施設管理を担ってきたNPO法人東松島まちづくり応援団の木村正樹理事(63)は「くらっぱは市民のための施設。どう活用したいか、市民の声を聞く機会があっていい」と指摘する。

 休館に伴い、くらっぱを拠点にしてきたサークルは別施設に移った。展示や制作に利用してきた仏像彫刻愛好会代表の門馬利明さん(81)は「残す建物は工具を常備して市民に開放するなど、市民活動を後押しする使い方をしてほしい」と要望する。

 休館に合わせ、市はまちづくり応援団への指定管理委託を3月末で終了し、応援団は解散を決めた。くらっぱの指定管理料を活用して応援団がJR矢本駅前などで開いてきたイベントやカフェも終わり、さびしさを感じる市民は少なくない。

 応援団の主催事業の中でも、やりがい創出や起業支援を目的に継続してきた手作り作品販売会は好評だった。石巻市蛇田の介護職の女性(57)は「同様の催しの中でも大勢の作家の作品が集まる貴重な場で通っていた。終了は残念」と継続を願う。

〔※〕蔵しっくパーク:旧矢本町に寄付された旧桜井酒造店を活用し2004年に開館。約4000平方メートルの敷地に、日本家屋「ひと・まち交流館」と、酒蔵を改修した「ふれ愛市民活動プラザ」があり、展示会やサークル活動などに貸し出してきた。日本庭園が見える古民家の風情が親しまれ、お茶席や交流会、婚礼写真の撮影や、最近は「鬼滅の刃」などアニメのコスプレ撮影にも人気だった。

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