フィデアHD・田尾祐一社長

決算会見で「地方から信頼され、相談される銀行を目指す」と強調するフィデアホールディングスの田尾祐一社長=2022年5月13日午後1時30分ごろ、仙台市青葉区

 フィデアHDは13日、2022年3月期の決算を発表した。田尾祐一社長らの会見での主な発言は下記の通り。
―近年の経営方針と今期決算の特徴は。
(田尾祐一社長)

 フィデアホールディングスは第4次中期経営計画でコンサルタント型営業に重点を置いたビジネスモデルへの改革、コストマネジメントの徹底による筋肉質な体制への変革を図っている。コロナの収束が見通せない上、世界景気の後退懸念、異業種との競争激化など、取り巻く環境は厳しさを増している。現在掲げている「地域から信頼され、相談される銀行」を実践していく。地域の発展に貢献し、地域とともに成長する広域地方銀行グループを目指す。

 第4次計画2年目に当たる21年度の主な取り組みとしては、顧客部門の損益改善、公的資金の一部返済などが上げられる。

 事業性評価活動、コンサル型営業への意識が浸透し、徐々に成果につながっていると感じる。銀行の本業と言える顧客部門は与信関係費用を除く業務純益ベースで、第4次計画の最終年度22年度の黒字化を計画していたが、順調に改善が進み、1年前倒しで達成した。地域経済は厳しい状況が続いているが、取引先のニーズや課題に寄り添い、顧客の懐に入って一緒に動く活動を徹底することで、収益力強化に取り組む。

 昨年9月には公的資金100億円のうち50億円を返済した。コロナ禍で先行き不透明な状況の中、金融仲介機能を強化していく必要があることも踏まえ、まずは50億円を返済した。

 再生エネルギー需要に関連し、風力発電事業会社ウェンティ・ジャパンが秋田で実施している洋上風力プロジェクトへの参入が決定した。荘内銀行は、酒田市内の再開発事業に主体的に参画している。持続的な成長、持続可能な地域環境づくりに貢献していく。

 2021年度通期業績は減収増益となった。顧客部門の改善が進んだ一方、金利環境や金融市場の動向に対応し、市場部門でポートフォリオの健全性に重点を置いて運営した結果、有価証券利息配当金や株式等関係損益が減少し、経常利益が前期比で減少した。連結純利益は店舗関連の特別損失の減少により増益となった。自己資本比率については公的資金の一部返済で9・52%。公的資金控除後で見ても、自己資本比率9・04%を達成している。
―与信関係費用が増加した。

 (宮下典夫副社長)毎年、自己査定で債務者の状況を分析している。コロナ禍も2年目に入った。今後の見通しも含めて各債務者の状況をきちんと見ていった方がいいだろうと。要注意先の会社の改善計画の状況について精査し、債務者区分の判定を厳格化した結果、破綻懸念先になった。さらに貸倒引当金を予防的に5億円ほど積み増した。過去の実績率、予想損失率などに基づいて引当を行っているが、先々のリスクをできるだけ小さくするため、破綻懸念先について、具体的には未保全額が5000万円以上の先について改めて基準を見直している。
―ポストコロナを見据えた検討は。

 (田尾社長)コロナ禍で、顧客は将来の事業の在り方を見直しつつある。HDとしても金利が低いことに起因する貸し出しにとどまらず、さまざまな顧客の相談業務、コンサルタント、ソリューション業務を重視する。実際、それぞれの事業について意見交換ができつつある状況だ。本質的課題に向き合い、一緒に将来像をつくっていく姿勢が求められる。中期計画で「顧客の知恵袋になろう」とのスローガンを掲げ、対応している。

 ―日銀が大規模金融緩和策を維持する影響は。

 (田尾社長)2016年当初からの低金利政策は、地銀にとって確かに厳しい。ただ、私は一貫して日本の経済浮揚の観点で非常に意味がある施策だと思っている。直接的には銀行の経営に影響を与えるわけだが、地域の経済を支えるという観点で見れば活性化につながる。直接的には逆風だが、全体で見れば日本経済を支える意味を果たしているということ。われわれとしては低金利のニーズに対応したソリューションを生み出すなど、新たな技で対応したい。

 ―地銀再編を促す日銀の方針への受け止めは。

 (田尾社長)地銀を取り巻く環境は人口減、マイナス金利、異業種参入による競争激化、コロナ禍などが重なり、大変厳しい。再編については各行の特徴や歴史、環境が違うので一概にこうあるべきだとは言わないが、厳しい環境でしっかり利益を上げて金融仲介機能を果たし、顧客と銀行が共存共栄できる絵をどう描くかについて考えていかねばならない。再編は、一つの選択肢だろう。私どもは既に持ち株会社という手法を取り、県境を越えて連携している。引き続き検討していきたい。

 統合を議論したものの実現に至らなかった東北銀行とは、今も包括連携協定を結んでいる。情報交換を含め、いろんなことを一緒にやっていこうということ。基本合意により、統合効果などを検討したが、経営戦略の方向性の違いやガバナンスに関する価値観の違いもあり、合意に至らなかった。戦略や体制に違いがある中、何かを譲り合いながら互いのモデルを修正して一緒になるのではなく、別々に企業価値を高めていくというのが今の結論。最終合意できなかったことは気持ちとしては残念だが、互いの企業価値を最大限保つとの結論は正しかったと思う。

 ―じもとHDが公的資金注入を発表した。コロナ特例が適用される初の事例となる。

 (田尾社長)まだ詳細を把握していないことを前提に申し上げる。地方銀行は金融仲介機能で地元を支えるため、お借りした公的資金を活用する。その一方で、公的資金を返していく。両方を両立するのが重要だ。このバランスを取り、うまく経営として実行していくことが必要になる。

 フィデアHDは地域を支える金融仲介機能を継続する一方、なるべく公的資金をお返ししようと、昨年9月に100億円のうち半分の50億円を返済した。仮に全額をお返ししても自己資本比率は9%を維持できる状況にある。金融仲介機能とのバランス、コロナ禍の対応を踏まえて判断している。

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