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石巻市議選告示 有権者視線 熱く、厳しく

立候補者の第一声を聞き、拍手で激励する支持者ら=15日午前8時40分ごろ、石巻市末広町

 石巻市議選は15日に告示され、7日間の短期決戦がスタートした。東日本大震災後では3度目の審判。新型コロナウイルス禍も重なり被災者の心のケアは重要性を増し、人口減少を見据えた持続可能な市政運営に課題は多い。有権者は立候補者に何を求めるか。選挙戦初日に声を集めた。

 被災者が入居する災害公営住宅は空き室が増えている。南浜地区で被災し、のぞみ野3丁目の災害公営住宅に住む60代の無職女性は「家賃が高くて出て行ってしまう人たちがいる」と肩を落とす。

 沿岸部各地から集まった入居者の新たなコミュニティーの形成も思うように進まない。女性は「高齢者が多く、最近は交流機会もなくなってしまった」と嘆き、「市議には被災者の元に小まめに足を運び、話を聞いてほしい」と求めた。

 小、中、高校生の子ども3人を育てる駅前北通りの主婦三條真理子さん(43)は「親の経済力や住んでいる場所に関係なく、子どもたちが好きな習い事や塾に通える社会になってほしい」と望む。

 同世代の新人が多く立候補したことで「初めて市議選に関心を持った。どうすればずっと住み続けたい石巻にしていけるか、みんなで考えたい」と語った。

 「子や孫の世代の負担を増やさないでほしい」と注文を付けたのは新橋の会社員加藤一博さん(71)。エネルギー問題では東北電力女川原発(女川町、石巻市)について「代わるものがあればそれに越したことはないが、原子力は現状ではまだ必要。市議には必要性だけでなく、安全性に意識を持って活動してほしい」と話した。

 基幹産業の水産業は燃料や資材の高騰に苦しむ。小渕浜でカキやワカメを養殖する阿部祐二さん(56)は「東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出による風評被害も課題で、担い手不足も深刻だ」と指摘。「浜の事情に詳しくなくてもいいので、活気づけるために動いてくれる市議が出てきてほしい」と願った。

私の一票

■楽しい町を願う 佐藤洋子さん(70)=主婦、石巻市住吉町1丁目
 新人候補が多くて注目している。中には東日本大震災を契機に移り住んだ人もいる。地元の候補と切磋琢磨(せっさたくま)し、幅広い世代が「石巻楽しいね」と思える町にしてほしい。楽しく過ごしていれば人は集まる。 
 復興が進む半島部などの様子をまだ見たことがない高齢者は多い。必要な負担はするので、町内会単位などでバスで巡れる仕組みがほしい。

■施設活用に力を 浅野浩章さん(48)=保険代理業、石巻市向陽町1丁目
 東日本大震災以降、市の復興、発展のために建てられた施設が多くあるが、うまく活用されていないように感じる。PR不足解消や高齢者への配慮など、課題解決のアイデアを持つ人を選びたい。 
 立候補者には同世代や年下の人もいる。空き家、更地の有効活用もしてほしいので、若い力が町の起爆剤となることを期待する。

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