閉じる

福岡の運転マナー、悪い? 「不適切なウインカー」が最多

 「きちんとウインカー(方向指示器)を出さないドライバーが多い。こう感じるのは私だけでしょうか」。西日本新聞(福岡市)「あなたの特命取材班」に福岡市の女性から困惑の声が届いた。10年以上前に転居してきたが、福岡の運転マナーが気になるという。取材班がアンケートを行うと、危険な運転の傾向が見えてきた。

 福岡県内の運転マナーについてウェブサイトでアンケートを行ったところ、18日までに81人から回答が寄せられた。

 「運転マナーが悪いと思うことがあるか」と尋ねたところ、約8割が「よくある」と回答。「時々ある」を含めると9割を超えた。「ほとんどない」と回答したのは81人中2人だけだった。

 具体的な経験について、福岡県新宮町の女性(42)は「車線変更の際、ウインカーを出さない。(交差点などでは)右左折の直前で出す」。アンケートでは不適切なウインカー使用についての指摘が最も多く、半数近くが挙げた。

急な割り込みも

 同県久留米市の男性(36)は「車間距離を詰め過ぎているので、急ブレーキや急発進が多い」。ほかにも道を譲らない、急な割り込みが多いなども挙がった。「渋滞がひどいこともあり、後続車が車間を詰めてあおる。譲ろうとすれば追突や交通トラブルの危険があるので、急な割り込みも多いのでは」(同県築上町の男性)と、道路状況の影響を指摘する意見も。

 日本自動車連盟(JAF)が2016年に実施した交通マナーに関する調査では、福岡県内の全般的な交通マナーについて「悪い」「とても悪い」と答えた県民は59・3%で、愛知県と並んで全国5番目に多かった。ワーストは香川県で、徳島、茨城、沖縄の各県が続いた。東北各県は青森13位、宮城21位、山形32位、福島36位、秋田41位、岩手46位。

 上位の県では、地域に特徴的な危険運転に呼び名が付いていることがある。例えば茨城県の「茨城ダッシュ」。交差点で信号が青になると急発進し、直進してくる対向車に先んじて右折しようとする行為を指す。同県内ではよく見られるといい、同県警は「『茨城ダッシュ』は交通違反です」と交流サイト(SNS)などで注意している。

「修羅の国運転」

 危険な運転行為の「命名」は、地域に特徴的な運転マナーの悪さを浮き彫りにすることで、改善の一端になるかもしれない。取材班はアンケートで、地域で特徴的な運転の呼び名についても考えてもらった。

 指摘の多かった車線変更や右左折時になかなかウインカーを出さない行為。福岡県大野城市の女性(35)は「博多名物バリカタラーメンならぬ『バリ遅ウインカー』」と名付けた。無理な割り込みや、緊急車両を優先させないなど自分勝手な運転を指して「我(わ)が先運転」「急いどっちゃけん運転」という命名もあった。

 北九州市の男性(47)は「修羅の国運転」と答えた。その心は「車間距離を詰めてくるなどドライバーが殺気立っている」から。福岡市の男性(54)は、狭い車間距離で車が連なるさまを指して「カルガモ走行」。本物は愛らしいが…。

 アンケートから見えてきた危険な運転行為は、いずれも一歩間違えれば大事故になりかねないものばかり。「周りもやっている」と慣れてしまうのが「ご当地危険運転」の怖いところ。まず自分の運転を振り返ることが重要かもしれない。

 道路交通法の施行令は、方向指示器を出すタイミングについて、右左折などは30メートル手前から、車線変更は3秒前からと明示。必要な場所で出さなければ「合図不履行」として交通違反となる。違反点数は1点。

2秒分の間隔で

 道交法は、直前の車両が急停止したときでも追突を避けられる車間距離を保つよう定めている。具体的な距離は指定されていないが、例えば時速40キロの車が急ブレーキを踏んだ場合、停止するには22メートルほどかかる。ただ走行中には適切な距離が測りにくい。

 警視庁などは車間距離を時間で表し、2秒分の間隔で走行することを呼びかけている。統計では車同士の間隔が2秒以内だった場合、事故が重大化しやすい傾向にあるそうだ。こちらも「車間距離不保持」の違反となれば違反点数1点(高速道路などでは2点)の罰則対象になる。
(西日本新聞提供)

関連リンク

関連タグ

最新写真特集