コーヒー販売で里山再生目指す 収益で種や苗購入、開墾した畑へ

開墾した農地で汗を流す保坂さん(右)と大西さん=男鹿市の観光牧場

 農業とコーヒー販売。互いの経験を生かして耕作放棄地を農地によみがえらせ、里山として残そうと2人の男性が奮闘している。秋田県男鹿市の合同会社秋田里山デザインの保坂君夏(きみか)さん(23)と大西克直(かつき)さん(24)。自家焙煎したコーヒーの販売収益で野菜の種や苗を買い、再生した畑で栽培している。保坂さんと大西さんは「美しい里山を広げ、10年後、20年後まで残したい」と熱く語る。

男鹿の男性2人、ビジネスモデル目指す

 活動の場は、同市船川地区の観光牧場の一角と五里合(いりあい)地区の水田だった農地の計2カ所。耕作放棄地を約4アールずつ借りて自分たちで開墾した。落花生やトマト、ナスなどを栽培し、地元の飲食店を中心に販売している。

 「よみがえった農地は食育や交流の場にもなるはず」と考え、地元の園児を招いて苗植えや収穫の体験会を開催。国際教養大(秋田市)の授業の一環として学生を受け入れ、耕作放棄地の利活用を話し合う活動も行っている。

 活動資金は自家焙煎した「さとやまコーヒー」の販売収益を充てている。男鹿市内の喫茶店で焙煎機を借りて製造し、インターネットやイベントなどで販売。2人の活動が徐々に知られると、さとやまコーヒーのファンも増えたという。

 農業は秋田市出身の保坂さんが主導してきた。秋田県立大(秋田市)で農業政策を学び、1年間休学して農業に打ち込むうちに農地の新たな活用方法について考えるようになった。

 コーヒーは大西さん。東京出身で国際教養大への進学を機に秋田に移住した。休学して東京の喫茶店で1年間バリスタとして働いた経験を生かした。

 2人は2020年2月に湯沢市であった地域おこしイベントで知り合った。意気投合し、同9月に男鹿市で開墾を始め、21年3月、共に移り住んだ。大学4年になった同年春から農作物の栽培に着手し、夏には合同会社を立ち上げた。

 今年3月に卒業した2人は今後、新たに放棄地約20アールを開墾し、米の栽培も始めたいという。7月からは独自ルートで仕入れたエチオピア産の豆を使ったコーヒーを販売する。現地業者との直接取引で低コスト化を図ると同時に、コーヒー豆生産者への還元率を高めるビジネスモデルを目指す。

 保坂さんは「自分たちの活動を通し農地活用に興味を持った人が一歩を踏み出す後押しをしたい」と意気込む。大西さんは「コーヒーをおいしく、楽しく味わってもらいながら人と自然の関わりを考えるきっかけになれば」と語る。

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