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日替わり店で夢追う人を応援 【特集】間借りのグルメ

 既存店舗の空き時間を活用した「間借り」をはじめ、多様な営業スタイルの飲食店が増えている。理由はコロナ禍だけでなく、出産による暮らしの変化や子育ての経験、働き方の多様化などさまざま。無理のないスタイルで新たな挑戦を楽しむ店主に話を聞いた。

カレーを軸に幅広く活躍中 旅するカレー屋 Kikuchi Curry

カレー教室で作るカレーの例。基本編と応用編がある

 「自分にしかできないことがしたい。間借り営業だったからこそ、フットワーク軽くチャレンジできました」と話すのは、仙台を拠点に「カレープロデューサー」として全国で活躍する菊池正浩さん。

 趣味で作っていたカレーをInstagramに投稿していたところ関係者の目に止まり、大阪のカレーイベントに出店。手応えを得て、当時東京や大阪で流行していた間借りスタイルで仙台市内にカレー店を不定期で開くようになった。

 現在は店舗を休業し、以前から興味のあったカレー教室や「カレー会」主催、飲食店のメニュー監修、若手クリエーターとコラボしたグッズ製作など、カレーにちなんだ幅広い活動に挑んでいる。「カレーはコミュニケーションツール。他業種やいろいろな人とつながることで新しい可能性が生まれる」と菊池さん。定期的に開催しているカレー教室には、初心者から飲食店関係者まで幅広い層の受講生が集まるという。

若手デザイナーとコラボしたオリジナルTシャツ「最期のカレー会」。Kikuchi Curry のブランド力で若い人たちの活躍を後押ししている
「 決まった型がな く、スパイスの組み合わせによって自由に表現できる。どこまでも追求したくなります」とスパイスカレーの魅力を語る菊池さん

日替わり店で夢追う人を応援 こん・とん

壁の色や椅子がおしゃれな店内

 間借り営業と共にコロナ禍で注目を集める新たなスタイルの店が、富谷市の住宅地にオープンした。その名も「こん・とん」。日によって異なる店主が腕を振るう「日替わりシェフの店」だ。オーナーの石井洋子さんは市の起業家育成事業「富谷塾」の4期生。長女が自己免疫疾患から脱毛症を発症したのをきっかけに「ハンディキャップのある方やそのご家族が気兼ねなく過ごせる居場所をつくりたい」との思いで入塾を決めたという。そこでさまざまなアドバイスを受け、地域の人が気軽に利用できるのはもちろん、起業を目指す人たちのチャレンジの場としても活用できるカフェを開くことに方向性を定めた。

 シェフは週1回ペースで月単位の出店と、半日または1日だけのスポット的な出店のいずれかを選べる。現在は沖縄料理や韓国料理といった多彩なジャンルの店が営業。7月にはタイ料理店が加わる予定なのでお楽しみに。この他、手話の勉強会や韓国人シェフによる韓国語教室を不定期で開くなど、飲食店の枠にとどまらない地域コミュニティーの場としての可能性も広がりつつある。出店やイベントの情報はWEBサイト(QR)で確認を。

こんなシェフがいます

<ごはんcafé「Oishisu」 鈴木美紅さん>
 「管理栄養士が作る心も体も温まるポカポカ健康ご飯」をコンセプトに月2、3回、ランチタイムにスポット出店。十六穀米のご飯、主菜2品、副菜3品、味噌汁、果物を彩りよく盛り付けた「ぽかぽかランチプレート」(1200円)は、素材本来のおいしさを生かした手作りの優しい味わいが楽しめる。

<CAFE MILLS 渡辺亜沙人さん>
 年間100作品以上を鑑賞するほどの映画好きが高じて「映画とコーヒーと人」をテーマにカフェ開業の準備を開始。“一人一人が自分の時間を自由に過ごすと同時に他者の存在を感じられる場所”を提供する。メニューはノンカフェインコーヒー(500円)、カフェラテ、紅茶、メロンソーダなど。

<Repos té 渡辺彩香さん>
 悩みやストレスを抱える親たちが一息つける癒やしの場になればと、アロマセラピストであり5人の子どものママでもある店主が月1回開く、紅茶とハーブティーの店。すっきりとした飲み口で見た目も涼しげな「バタフライピー&レモングラス」(400円)は夏にぴったり。ベルギーワッフルと一緒にどうぞ。

富谷市上桜木1-38-9
TEL090-4667-6871

(河北ウイークリーせんだい 2022年6月23日号掲載)

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