看板メニュー これからも 【特集】人情も味 ドライブイン
国道沿いなどで見かけるドライブインの多くは、昭和や平成から営業を続けるドライバーのオアシスだ。中高年には懐かしく、若者には新鮮な空間。レトロな店の扉を開ければ、人情あふれる店主や、味・ボリュームともに満点の料理が出迎えてくれる。知れば知るほど好きになる、宮城県内のドライブインを巡ってみよう!
岩出山の食材 たっぷりと
<ドライブインふるさと>
ドライブインが爆発的に増えた1970年代、国の減反政策も本格導入された。「同じことをしていては生き残れない」。稲作と酪農をしていた店主岡田眞由美さんの父が、危機感から一念発起。73年、自宅近くの大崎市岩出山の国道47号沿いに店を出し、母を中心に切り盛りしてきた。
開店当時の客の中には、関東方面の出稼ぎ先から数人で車に乗り合わせて来る人も目立ったという。数十年ぶりに再訪し、思い出に浸る人もいるそうだ。
野菜やコメは地元岩出山産がメイン。野菜は岡田さんが畑に出て収穫したものが多い。コメは、岡田さんの曽祖父が誕生に関わったというササニシキ。栽培の難しさから姿を消しつつある品種だが、「冷めてもおいしく、食感と香りもいい」と自信を持って提供する。
定食、丼物、パスタなど100余りのメニューがそろう。絞り込もうとも考えたが、「そのメニューが好きなお客の顔が浮かび踏み切れない」と笑う。
大崎市岩出山下野目二ツ屋56-1
TEL0229-72-0014
営/11:00~21:00
休/第2・4火曜
駐車場/30台(大型車可)
世代を超えて 楽しめる店
<ドライブインみしま>
2代目店主三嶋一眞さん、里枝さん夫妻が、店を切り盛りする。一眞さんの父で創業者の一明さんも、昼の繁忙時間帯は店に出る。
一明さんは、親戚が営む中華料理店で腕を磨き、1989年、川崎町の現在地に店を開いた。所有していた土地の目の前に、ルート変更によって国道286号が整備され、宮城と山形を行き来するトラックの往来が増えていた頃だった。
3 0 年以上の看板料理が「ダールラーメン」だ。ボリュームたっぷりで運転手らに満足してもらえるメニューにしようと、人気だった「おんめんラーメン」にとろみを付けてアレンジした。具だくさんのあんと後を引く辛味が魅力。半ライスを注文し、スープをご飯にかけて楽しむ客も多い。
国営みちのく杜の湖畔公園の目の前にあり、ファミリー客も多い。子ども用のメニューやいすを用意するなど、世代を超えて楽しめる店を心がける。
川崎町小野町裏32
TEL0224-84-5822
営/11:00~18:30
休/木曜(祝日の場合営業、翌日休み)
駐車場/30台(大型車可)
時代に合わせ 塩分控えめ
<上涌谷ドライブイン>
運輸会社のドライバーだった初代の父が転職し、1970年頃、涌谷町内の国道108号沿いに開業した。萩田修司さんは「幼稚園児の頃には店を継ぐと言っていました」と笑う。調理師専門学校を卒業後、父と厨房に立ち、86年に2代目店主になった。
開業数年後の78年に店舗を建て替えた。壁にずらりと並ぶメニュー札、レトロな照明などは変わらない。時が止まったような懐かしさを好み、3世代で訪れる常連客もいる。麺類、丼もの、定食など多彩なメニューは初代のレシピをベースに、時代に合わせ昔より塩分を控えめにしている。
今は妻仁美さんとの二人三脚だが、高校3年の長女と中学3年の長男も料理の道を目指していて、親子4人で出迎えてくれる日も近そうだ。
かつてはトラックドライバーの来店が多かったが、最近は週末を中心にファミリーが目立つ。小上がりがあり、宴会にも対応。修司さんが送迎もしている。
涌谷町今左エ門沖名20-1
TEL0229-42-3579
営/11:00~LO19:30(予約制で時間外の宴会に対応)
休/月・水・金曜
駐車場/25台(大型車可)
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(河北ウイークリーせんだい 2022年8月4日号掲載)