【特集】焼き肉、焼きに行く?<牛正>
夏は焼き肉。帰省した家族や友人がそろえば焼き肉。8月29日の「焼き肉の日」も近い。ブランド牛を味わい尽くす高級店、それとも多世代で楽しむファミリー向けの店、いやいや今話題の新形態も気になるぞ。おいしい焼き肉で暑さも夏バテも吹き飛ばそう!
一頭買いの美学 極上肉味わう/牛正仙台店
「憧れの仙台牛が食べたい!」と向かったのは、「牛正仙台店」(仙台市青葉区一番町)。仙台牛銘柄推進協議会お墨付きの「仙台牛銘撰」に加盟する名店だ。仕入れ、味付けなどのこだわりや、おいしく食べる焼き方を土屋泉店長に聞いた。
目にも鮮やかな「特上ロース」を手に、土屋店長が現れた。艶のある淡い赤に白いサシがきめ細かく入り、なんとも美しい。
仙台牛は、宮城で育った黒毛和牛の中でも特に厳しい基準をクリアしたものだけに与えられる称号だ。牛正は社長自ら市場で目利きし、競りで一頭丸ごと買い付ける。「一頭買い」を貫く理由を「生産者が手塩にかけた上質な牛は一頭単位で出荷されるから」と土屋店長。「丸ごと仕入れ、無駄なく使い切る」のは、牛を大切に育ててくれた生産者への敬意でもある。生育履歴が分かることや希少部位を店で提供できることもメリットだ。
「いい肉はシンプルに食べて」と、下味は潔く塩コショウのみ。別に添えられたのも、あっさりした自家製醬油だれとレモンだれだ。「さて、焼きましょうか」と土屋店長が炭をおこす。「ガスは便利ですが、やはり素材の力を最大限に引き出してくれるのは炭火です」。いよいよ本番だ!
脂の甘みと香りを満喫
網が十分熱くなったのを見計らって、肉をのせる。息を凝らして見つめる取材チーム。…パチパチ、パチ。数十秒で脂が炭に落ちてはぜる。「これ! 高い音がしてきたら裏返しましょう」と土屋店長。裏も同様にパチパチと音がすれば食べ頃。さらに焼くかはお好みで。
豊かな香りに食欲を刺激される。くんくん嗅いでいると、土屋店長が「和牛香です」と教えてくれた。ナッツのようなこくのある甘い香りで、上質な和牛を焼いた時に出るという。
いいあんばいに焼けた肉を口に入れると、香りと味、舌で溶ける脂の甘みの全てが相まって極上のうまさだ。「塩で食べて」と言われた意味が分かる。
焼く順は、タンなど比較的脂の少ない部位から焼き始め、バラ、ロースなどジューシーな部位からステーキ、ホルモンへと食べ進む。迷ったら10種類の肉が食べられるコース(5500円、6500円、8000円)がお薦め。
牛正仙台店
仙台市青葉区一番町4-9-1 かき徳ビル3階
電話番号 022-393-4129
営業時間 17:00~23:30(現在は22:30までの時短営業中)
店休日 日曜、臨時休あり
牛正石巻本店
石巻市南中里3-5-28
電話番号 0225-93-9002
営業時間 17:00~23:30(現在は22:30までの時短営業中)
店休日 水曜、臨時休あり
おうち編 肉の味が格段に向上
土屋店長に、家でおいしく肉を焼く方法を指南してもらった。ポイントは①焼く前に肉を冷蔵庫から出し常温に戻す②ホットプレートやフライパンを十分に熱してから肉を置く③焼き過ぎない―の3点。
半透明の「スジ」は口に残るので、包丁やはさみで断ち切っておこう。ホットプレートは表面が波型だと、余分な脂が自然に落ちる。贈答品などで上質な和牛が手に入れば、初めはぜひ塩コショウだけで味わって。
輸入牛の特有の匂いや硬さが気になる場合は、事前にフォークで満遍なく突き刺し、塩コショウとガーリックパウダー少々をまぶしてから焼くといいそうだ。
仙台牛とは
①黒毛和牛②登録農家が宮城県内で肥育③仙台牛銘柄推進協議会が認めた市場などに出品され、最高ランクA5・B5に格付けされた―などの条件をクリアしたブランド牛。霜降りと赤身のバランスが絶妙で、口当たりがよく、まろやかな風味と豊かな肉汁を持つ。仙台牛銘撰は推進協議会が定めた厳しい基準を満たした店で構成している。
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Written by 鶴岡彩
Photo by 鈴木信敏
(河北ウイークリーせんだい2022年8月11日号掲載)
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