RAF2021-22後期・エリア紹介(1)市街地 旧鮮魚店に懐古の風景
石巻市で10月2日まで開催されている現代アートと音楽、食の総合祭「リボーンアート・フェスティバル(RAF)2021-22」本祭後期。今回はこれまでイベントの中心だった牡鹿半島に、石巻南浜津波復興祈念公園や渡波地区も加わり、5エリアでアーティストら21組が計26作品を出展している。閉幕まで残りわずか。各エリアの特徴や石巻に着目とした作品などを紹介する。(大谷佳祐)
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RAFがきっかけとなってギャラリーが増えた石巻市中央地区。画家や写真家など多彩なジャンルのアーティストが創作活動に励みながら交流し、活気を見せている。
注目したい会場は今年3月に惜しまれつつ閉店した中央1丁目の鮮魚店「プロショップまるか」。三重県出身の芸術家弓指(ゆみさし)寛治さんと芥川賞作家朝吹真理子さんが、石巻市民との触れ合いを基にした絵と言葉の作品「スウィミング・タウン」と「36のあいさつ」を店内全体で公開している。
弓指さんは震災後、定期的に石巻を訪れ、市民から当時の話や現在の暮らしなどをリサーチ。絵画やテキストの形に残した。
一方通行になっている店内を進んでいくと、漁の風景をはじめ、東日本大震災でなくなってしまったガソリンスタンドやバッティングセンターなど、それぞれの心に残る石巻の光景が広がる。住民にとっては懐かしく、初めて石巻を訪れる人には被災地に関心を寄せるきっかけになるだろう。
出口付近には弓指さんが描いた魚の絵がまるで本物の鮮魚店のように陳列されているのも面白い。
周辺にある芝居や映画が楽しめる施設「シアターキネマティカ」や旧観慶丸商店などでもアート作品を鑑賞できる。土日は、市内で活動する作家のギャラリーにも足を運ぶのもいいかもしれない。