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水と光の百年絵巻~石巻川開き祭り(5・完)未来へ 市民総参加目指し模索

陸上行事の花形である小学生鼓笛隊パレード。市民総参加に向けて、今年は市全域の学校へ参加の呼び掛けを検討する=第99回祭りのパレード、2022年8月7日

 100回の節目となる今年の石巻川開き祭りに向けては、99回目を終えた翌月から事業内容の検討が動き出した。実行委員会は官民25人でつくる記念事業検討委員会を設置。約10回の会合を重ね、昨年12月に提言をまとめた。

 検討委が提言のコンセプトに掲げたのが「市民総参加」だ。地方都市には人口減少や地域経済の停滞といった課題がある。祭りがそれを乗り越えて継続していくためには、一人でも多くの市民を巻き込む仕掛けが欠かせない。

 提言はボランティアなど運営面でも市民に協力を求めることや、これまで旧石巻市内の学校のみだった小学生鼓笛隊パレードに、可能な限り市全域からの参加を促すことなどを盛り込んだ。財源にも踏み込み、従来の企業協賛や市の負担金頼みでなく、ふるさと納税やクラウドファンディングで個人からも広く支援を求めるよう助言した。

■3日間開催 提案

 開催日程は実行委が決定した8月5、6日に加え、前夜祭を含めた3日間とすることを提案した。一方で、花火大会の会場は「市民の声を反映した場所」との表現にとどめた。関係者は「検討委の中でも意見が割れた」と理由を明かす。

 日程や花火大会の会場といった祭りの在り方は、これまでも議論を繰り返し、時代ごとに変遷してきた。

 日程は1962年から8月1、2日で固定していたが、市民総参加を目指して99年に8月第1土・日曜に変更。1市6町合併に伴い旧町の夏祭りと重なることを避け、2006年に1、2日の固定に戻した。市民の声を受けて昨年、再び土・日曜開催に。市民が参加しやすく、経済効果も高まると判断した。

■花火会場は検討

 花火会場は、内海橋周辺は祭りの一体感や商店街への波及効果が期待できる半面、安全上の問題で尺玉や大規模なスターマインには対応できない。震災前に会場だった開北橋下流は「東北屈指」と言われたダイナミックな演出が可能だが、市街地から遠い。実行委は石巻南浜津波復興祈念公園なども候補に検討を進める。

 検討委は提言の中で、100回目の祭りを「今までの祭りの検証と未来への第一歩」と位置づけた。実行委員長を担う石巻商工会議所の青木八州会頭は「運営面を含めてできるだけ多くの市民が参加し、皆が楽しめる祭りにしていきたい」と意気込む。

 水と光で彩られる川開き絵巻は、新たな1ページへ。時代に合った形を模索しながら、次の100年後まで続く祭りを目指す。(保科暁史・奥山優紀)

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