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原子力災害医療棟が完成 被ばく、汚染傷病者の受け入れ万全に 石巻赤十字病院

汚染傷病者らの処置にあたる初療室を見学する関係者ら

 東北電力女川原発(女川町、石巻市)から半径30キロ圏内に位置する石巻市の石巻赤十字病院の原子力災害医療棟が完成し、24日に現地で竣工(しゅんこう)式典があった。国、県の監査を経て4月までに使用を始める。

 医療棟は病院北棟の西側に位置し、鉄筋コンクリート2階建てで延べ床面積は約870平方メートル。建築基準法の1.5倍となる耐震構造にした。

 1階は患者や医療スタッフら45人を収容でき、外気が入るのを防ぐ「陽圧管理」とし、汚染傷病者を処置する初療室や放射性物質による被ばくを軽減する除染室、資機材庫などを設けた。

 2階は関係者58人を収容可能で、平時は原子力災害医療の研修などに活用する原子力災害対策本部や更衣室兼休憩室を備えた。

 病院は2002年2月に東北電と「緊急被ばく傷病者の診療に関する覚書」を締結。女川原発内で発生した傷病者を受け入れてきた。15年に整備した北棟の救命救急センターには災害時に傷病者を受け入れるNBC(核物質・生物・化学物質)室を設けた。被ばく、汚染傷病者の受け入れへ整備を進めていた。

 11年3月の東京電力福島第1原発事故を教訓に国の原子力防災体制の枠組みが変更。病院は18年1月に県の原子力災害拠点病院に指定されたが、既存のNBC室では不十分だとして21年11月から医療棟の整備を進めてきた。

 整備費は約11億円で国の原子力災害対策事業費補助金を充てた。

 式典には関係者ら約30人が出席。石橋悟院長が「原子力災害拠点病院として求められる使命を果たしたい」と決意を述べた。看板の除幕やテープカットで完成を祝った。

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