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【全文公開】大賞「あらゆる透明な」高村峰生<第6回仙台短編文学賞>

 真夜中の空には、浜辺から吹き上げられた砂粒のような無数の星がさえざえと輝いていた。カラカラと音を立てる古い自転車を押して、かさ上げされた土地の商店街に至るいつもの坂道を上っていると、海を背にしているのか、それとも海に向かっているのか分からなくなった。今日もまた、波の音がよく響いていた。その音は、夜…

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