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子育てと介護の縁側・今日も泣き笑い(25) しばしのお別れ 一緒の暮らし、娘の日常

2020年春、山口の実家で。新型コロナウイルス感染で外出自粛ムードの中、あま音の成長をみんなで見守ることができました
滞在先の東京のホテルで泣き出したあま音。動画でメッセージを撮影して、せんじいに送りました

【石巻市・柴田礼華】

■山口の家に帰省

 この年末は、私たち夫婦と5歳の長女あま音、1歳の次女しお音の4人で私の実家がある山口県長門市へ帰省することにしました。本当は同居する義理の両親、せんじい86歳とレツさん87歳も一緒に連れて行きたいところなのですが、長距離移動の体への負担を考えて、今回は人生初の「ショートステイ年越し」をしてもらうことにしました。

 東日本大震災後、一時山口への移住も検討した柴田家。寒い時期はせんじいとレツさんは山口に2、3カ月滞在したり、新型コロナウイルスの緊急事態宣言の時も0歳だったあま音と、せんじい、レツさん、われわれ夫婦で1カ月近く滞在していました。

 海がすぐ目の前に見える山口の家は、せんじいにとって生まれ育った石巻市門脇町の家の北上川河口と重なるらしく、潮風を感じながら暮らせるのが落ち着くそうです。あま音が「あと何個寝たら山口?」と聞き、私が「あと○個だよー」というやりとりを毎日するたびに、そばで聞いているせんじいが「いいなぁ。せんじいも行きたいなぁ」と少し寂しそうです。

 せんじいは、レツさんだけショートステイを利用してもらい、自分はわれわれと一緒に山口に行くこともちらりと頭をよぎったようですが、5年前に認知症を発症し、目もほとんど見えないレツさんにとって、安心できるのはせんじいの側なのは間違いなく、今回は2人そろってショートステイを利用することを決めたようです。

■離れるの寂しい

 いつも一緒に暮らす家族と離れて寂しいのは老人だけでなく、子どもたちも同じかもしれません。今年3月、子どもたちを連れて夫婦で東京出張に行った際、滞在先のホテルで夜、あま音がしくしくと泣き出しました。「せんじいとおばあちゃんに会いたいよう。おうちに帰りたいよう」と泣き続けるあま音。正直家事から解放されて、夫婦と子どもだけの生活を気楽に感じていた部分もあったのですが、彼女の涙を見て、おじいさんとおばあさんがいる暮らしが彼女にとっての日常であり、当たり前のことなんだなと感じました。

 そうなると、できる限りおじいさん、おばあさんと子どもたちが一緒に暮らせるように頑張らなきゃいけないなぁと新たに覚悟も決めたのでした。

 とはいえ、山口にいる私の実母や妹、弟夫婦も大好きなあま音としお音。年末年始は穏やかな海沿いでの日々を楽しんできたいと思います。しばし、せんじい、レツさんと離れますが、また元気に「ただいま」と石巻に戻ってきます。

 来年もドタバタな私たち家族とのお付き合いをよろしくお願いします。

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