核や戦争の恐ろしさ学ぶ ノーベル平和賞受賞の被団協・木村代表理事、釜小で講話
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昨年12月にノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の代表理事木村緋紗子さん(88)=仙台市=が30日、石巻市釜小で児童に被爆体験を語った。父や祖父の命を奪った核兵器や戦争の恐ろしさを強調し、「私たち一人一人が平和をつくり上げなければいけない」と呼びかけた。
図書館で6年の児童56人を前に講話した。「原爆は鉄が溶ける温度の何倍もの熱線を出し、(皮膚が溶けて垂れ下がった)幽霊のような人たちの行列を作りだした」と語り出した。
広島市に原爆が投下された1945年8月6日、爆心地から1.6キロの場所にある祖父宅にいた。家の中から黄色い光を見て、崩れた家の下敷きになった。庭で植木の手入れをしていた祖父は大やけどを負った。「家から助け出された時に、隣に幽霊のような人がいた。それが祖父だった」
木村さんは祖父を看病している様子を描いてもらったという絵を掲げ、当時を振り返った。「体に湧いたウジを取るのが毎日の仕事だった。臭いが本当に嫌で、早く死んでくれたらいいと思ってしまった」と後悔をにじませた。祖父は6日後に亡くなった。
父も3日後に大やけどを負った姿で見つかった。その夜に「無念でならん。子らを頼む」と言い残して息を引き取った。その後、母を支えて生活した苦労を振り返り「戦争をしてもいいことはない。だからこそ、皆さんも友達をいじめず、大切にしてください」と語った。
ノルウェーで開かれたノーベル平和賞の授賞式にも出席した木村さんは「うれしいとは簡単に言えない私もいる。今まで一生懸命に運動してきた先人が生きているうちに賞が欲しかった」と胸の内を明かした。
講話を聞いた尾形桜唯(るい)さん(11)は、5歳の頃に広島平和記念資料館を訪れたことがあるという。「焼けた三輪車や弁当箱の展示を見て悲しくなった。木村さんのように原爆について話し、戦争をなくせるようにしたい」と話した。
講話は石巻市が取り組む「非核平和推進人材育成事業」の一環で行われた。
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