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石巻・田代島伝承、アニメに 「海から上がった観音様」、市民ら70人観賞

市民ら約70人がアニメで民話を楽しんだ上映会

 石巻市の田代島に伝わる民話「海から上がった観音様」をアニメ化した作品の上映会が11日、同市中央2丁目の市かわまち交流センターであった。日本財団(東京)が取り組む「海ノ民話のまちプロジェクト」の一環。市民ら約70人が訪れ、民話の世界が再現されたアニメを楽しんだ。作品はプロジェクトのサイトやユーチューブチャンネルで公開されている。

 民話は田代島の三石崎が舞台。親孝行な漁師の又七が、沖で網を引っかけてしまい魚が取れなくなった。その晩、網が絡まった金の馬に乗った観音様が夢に現れ「島民を見守りたいが島で住むところがない」と訴える。又七は観音堂を建て、島は大漁に恵まれる-というストーリー。作中には観音様が海から上がった時に岩に残ったと伝わる、三石崎の「馬の足跡」も登場する。

 上映会では、市民が熱心に映像を見つめた。田代島仁斗田地区出身の今野祐子さん(66)は「三石崎はお祭りのたびに行った懐かしい場所。民話は昔から聞いていたが、改めてストーリーに感動した。地域に根付いた道徳の教材としていいと思う」と語った。同市稲井小2年の安藤優凪(ゆな)さん(8)は「面白かった。田代島にも行ってみたくなった」と感想を話した。

 アニメの監督を務めた一般社団法人日本昔ばなし協会代表理事の沼田心之介さん(44)は「親子の絆や海とのつながりが詰まった民話。子どもたちや多くの人に見ていただき、語り継いでくれたらうれしい」と呼びかけた。

 プロジェクトは海にまつわる全国の民話を発掘し、次世代への伝承を目指す。今回が92作目。石巻市は「海ノ民話のまち」に認定された。

 上映会後は、アニメを題材にした「顔はめパネル」に絵を描くワークショップもあった。パネルは石巻市中心部と田代島にそれぞれに設置される。

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