子どもの運動機会創出へ 石巻地方の小学校、独自の取り組み実施
スポーツ庁が全国の小中学校を対象に行った「2024年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の県内の結果がまとまり、県のホームページで公開されている。調査対象の小学5年生と中学2年生の結果は、中2男子が全国平均を上回ったものの、それ以外は下回った。石巻地方の小学校では、体力強化や運動に親しむ機会を増やそうと、学校独自の取り組みに挑戦している。
■石巻・開北小 教員が放課後運動教室、月2回

石巻市開北小(児童297人)は昨年10月、放課後スポーツ・運動教室の時間を新たに設けた。運動に親しみを持ち、体を動かす楽しさを知ってもらうための試行錯誤が続いている。
文部科学省が昨年実施した新体力テストの結果で体力向上の必要性が浮き彫りになった。同小ではソフトボール投げと50メートル走で全国値を下回った学年が多かった。小学5年生男子のソフトボール投げの結果では、全国が21.88メートル、同小が17.69メートルで4.19メートルの差があった。女子も10.75メートルで、全国より2.67メートル下回った。50メートル走でも1秒近く遅かった。
運動教室は希望者を登録して、昨年10月から月2回実施している。現在は1~6年生97人が登録。運営は教員が主体となり、ドッジボールやバドミントンなどに取り組む。
教室を企画した檜垣篤典教諭(41)は「今の子どもたちは遊びの中で体を動かす機会が少ない。登下校も送迎される児童が多い。まずは運動を好きになってもらいたい。自分の好きなスポーツを見つけられれば、おのずと体力も付いてくる」と話す。
6回目の開催となった2月17日は、特別講師として女川町の社会人サッカーチーム「コバルトーレ女川」の選手を招いたサッカー教室を開き、1、2年生45人が参加した。
コバルトーレに今年加入した真口幸太選手と宮阪淳也選手ら3人が講師となり、鬼ごっこやミニゲーム形式のサッカーを楽しんだ。石巻商高3年の生徒2人も協力した。
参加した1年の中野心遥さん(7)は「水泳やスキーを習っているが、サッカーも楽しかった。バレーボールもやってみたい。体育で跳び箱5段が飛べるように練習もしたい」と期待を膨らませる。
教室は来年度も開催予定。地元のスポーツ団体やチームとの連携も視野に入れ、地域ぐるみでの子どもの体力向上を目指す。昼休みの体育館開放も検討する。
檜垣教諭は「授業と違い、教室で運動する子どもたちの顔は生き生きしている。スポーツをやってみる楽しさに気付けるきっかけを作っていきたい。体力作りが生涯スポーツやいざという時に身を守る力に役立ってほしい」と話す。
■東松島・矢本東小 体力テストや外遊びの機会確保

東松島市矢本東小(児童447人)では、子どもたちの運動機会を増やそうと学校独自の体力テストを実施している。得手不得手を問わず、興味のある種目にチャレンジしてもらい、体を動かす楽しさを伝える狙いがある。
独自の体力テストは2023年度に始めた。自分の記録を試したり、次のスポーツ庁の体力調査に生かしたりしてもらうのが狙い。
体力テストでは、調査種目の中から、握力、上体起こし、長座体前屈、反復横跳び、50メートル走、立ち幅跳び、ソフトボール投げの計7種目を用意した。調査と違い、好きな競技に何度でも挑戦できるのが特徴。
本年度は昨年11月の放課後、全児童が参加し、思い思いの種目に取り組んだ。計測には地域からボランティアを募り、保護者や住民らが協力した。
体育主任の佐藤尚教諭は「自分の好きな競技に挑戦できるため、子どもたちの興味や関心を高められる。授業でも挑戦する姿勢が育ち、前向きな子どもが増えたと感じる。地域の人には、子どもとの関わりが生きがいや楽しさになってくれればうれしい」と話す。
放課後に外遊びの時間を捻出する試みも22年10月から実施。規則正しい生活の基盤をつくるため、時間割を変え、30分以上のまとまった時間で運動できる機会を確保した。
外遊びへの児童の反応は良く、放課後は駆けるように校庭に飛び出していくという。全校児童へのアンケートで、外遊びなどで体を動かすことが楽しいか聞いたところ、「とても楽しい」や「楽しい」という肯定的な回答が昨年12月に96%に上り、23年7月の80%を大きく上回った。
外遊びを導入した相沢進校長は「運動は生活習慣が整えられるだけでなく、健康や将来への生き方にもつながる。外遊びでは異学年との関わりが増え、心の成長にもなっている。続けていきたい」と語った。
◇
■2024年度全国体力調査(中学2年、小学5年)
<県内、中2男子以外平均下回る>
県教委が昨年12月に公表した「2024年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査」結果によると、県内の中学2年男子は42.58点(前年度比0.39点増)で、全国平均を0.72点上回った。順位も16位と2年連続で10位台をキープした。握力や立ち幅跳びなど計6種目で平均を上回った。小学5年男子は52.44点(0.16点増)で平均以下だが過去最高の27位だった。
女子は小5、中2ともに平均を下回った。小5は53.75点(0.11点減)、中2は46.37点(0.23点減)。中2は昨年より全国順位を3つ下げ42位だった。
調査は昨年4~7月、県内35市町村の国公私立の小中全544校で実施した。
テスト項目は全8種。小中共通種目は握力、上体起こし、長座体前屈、反復横跳び、50メートル走、立ち幅跳びの計6種。ほかに小5はソフトボール投げと20メートルシャトルラン、中2はハンドボール投げと20メートルシャトルランか持久走(男子1500メートル、女子1000メートル)のどちらか1種目を選択する。記録を1~10点で点数化し、合計80点満点で体力合計点を算出した。
関連リンク
- ・ICT活用で児童の体力向上 ソフトバンクと連携、石巻専修大が研究発表(2024年12月22日)
- ・力振り絞って疾走 石巻で室内陸上大会 小中学生307人、健脚競う
- ・石巻・津波伝承館、初の小学生解説員デビュー 仙台の田中さん、家族の体験通じて関心
- ・当たり前の日常、大切さ心に刻む 震災犠牲者遺族が講話 東松島・鳴瀬未来中
- ・「震災との距離感」見つめて 石巻の被災家屋で作品展、あすから 石彫など8点
みやぎ地域安全情報
宮城県警 みやぎセキュリティメールより
- 特殊詐欺の予兆電話について(利府町)
- 特殊詐欺の予兆電話について(仙台市泉区)
- 男子小学生に対する凝視事案の発生【太白区】
- 特殊詐欺の予兆電話について(白石市)
- オレオレ詐欺の特殊詐欺注意報(遠田郡涌谷町)
- 女性に対する暴行事案の発生【利府町】
- 刃物ようのものを持った男の目撃情報について【仙台市太白区】
- 特殊詐欺の予兆電話について(仙台市泉区)
- 特殊詐欺の予兆電話について(角田市)
- オレオレ詐欺の特殊詐欺注意報(大崎市)
- 特殊詐欺の予兆電話について(角田市)
- 特殊詐欺の予兆電話について(仙台市泉区)
- 特殊詐欺の予兆電話について(気仙沼市)
- 特殊詐欺の予兆電話について(仙台市泉区)
- 特殊詐欺の予兆電話について【涌谷町】
- 特殊詐欺の予兆電話について(仙台市泉区)