若い社員が活躍し、
新規開拓をする
風通しの良い会社
お茶の井ヶ田株式会社
お茶の井ヶ田(仙台市青葉区)は創業から100年以上も地域に根差し、宮城県民に親しまれるお茶や菓子を販売する企業だ。歴史ある企業を経営する役員や、若手社員たちはどのような思いで日々働いているのか。井ヶ田健一社長と私たち学生と年齢の近い若手社員のお2人に、会社の魅力や雰囲気、企業や個人としての目指す将来像などを取材した。
私たちが取材しました!
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東北学院大学
菊地 七虹
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東北学院大学
中里 友香
社長インタビュー
活力を生む
コミュニケーション
抹茶入り生クリーム大福の喜久福でおなじみのお茶の井ヶ田。創業104年の老舗企業は仙台市や多賀城市などで甘味処(かんみどころ)とお茶と菓子の販売店を兼ねた「喜久水庵(きくすいあん)」、太白区秋保地区で観光施設「秋保ヴィレッジ」を展開し、地元住民に親しまれている。新型コロナウィルス禍の2020年には人気アニメ「呪術廻戦」とコラボした喜久福を発売し、若者にも注目された。

会社の雰囲気について、四代目社長の井ヶ田健一さんは「上から指示するというより、社員が自主性を持って現場で気付いたことをやっていく感じ。社員がやりたいことをやってうまくいけば、『他の店でもやってみよう』となる」と語る。社員の自主性を重んじることが会社の活力を生み、魅力にもつながっているのだという。

コミュニケーションも活発だ。社員の8割を各店舗のスタッフが占め、積極的につながりを持とうとするタイプが多い。会社ではなく社員主催の行事も珍しくなく、男性社員だけで集まり「男祭り」を企画したこともあった。
お茶の井ヶ田株式会社 代表取締役
井ヶ田 健一さん (41)
(いげた・けんいち)
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慶應義塾大学商学部卒。2007年に入社し、2012年、四代目社長に就任。家族は妻と子ども3人。趣味は旅行で、先日家族で台湾を旅行した。仙台市出身。
今後は地元にとどまらず、新たな顧客層開拓を目指す。「コロナ禍でも呪術廻戦とのコラボ企画のおかげで全国に知ってもらうことができ、北は北海道から南は九州まで商品を販売している。海外も香港、台湾、タイ、フィリピン、マレーシア、シンガポール、ベトナムに1回以上は出荷した。生産が追い付かず国内優先でやってきたが、いずれ生産能力を増やし本格的に海外進出したい」と意気込む。主力商品がお茶と菓子であることは変わらないが新たな商品を開発し、観光客・関東圏・海外という三つのマーケットに売り込む考えだ。
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最近の大学生について、「世の中の役に立つことや課題を解決すること、弱者のために行動しようとする感度は高いが、問題が起きたり普段と違う状況に直面したりする経験や、それを乗り越えるという経験が少ない」とみる。「コミュニケーション能力といつでも外に通用する力を身につけることが大切。何でもいいから、興味のある分野のことにチャレンジしていってほしい」とエールを送る。
若手社員インタビュー
アルバイトから社員、
そして店長に
川合美里さんは入社6年目で、現在はお茶の井ヶ田喜久水庵セルバ店の店長を務めている。
川合さんの業務内容について尋ねた。午前10~11時に出勤し、店舗での接客を中心に、従業員や売り上げ管理、閉店後のレジ締めなどを担う。入居しているショッピングセンター(セルバ)の管理事務所との打ち合わせやシフト作成といった、店舗外での業務も仕事だ。

お茶の井ヶ田で働こうと考えたきっかけは、大学時代の喜久水庵でのアルバイト経験だ。従業員は20~30代が多いためか活気に満ちていた。風通しの良い雰囲気に惹かれ、正社員として働くことを決意した。

仕事のやりがいを「お客様から『ありがとう』と感謝してもらうこと。お客様との会話を通じて何を求めているかを理解し、それが提供できてお客様の満足につながった時もうれしくなる」と笑顔で語る。

学生と社会人の違いについては、「アルバイトから正社員へ、そして店長へと立場が変わるにつれて、責任を背負う場面が多くなった」と感じているそう。一方で、「365日常に責任を負うのではなく、働く時と休む時といったオンとオフを切り替えることが大切」と、ストレス発散もうまく取り入れている。
お茶の井ヶ田株式会社
店舗開発部 喜久水庵セルバ店 店長
川合 美里さん (28)
(かわあい・みさと)
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東北福祉大卒。2018年入社。現在はセルバ店にて店長を務めている。山形県出身。
大学時代に福祉を専攻した川合さん。高齢の来店者が多い中で、足の不自由なお客の介助や、目の不自由なお客様への商品の見せ方や伝え方の工夫は、大学で学んだ福祉の知識や経験が活かされている。
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最後に社会人としての将来像について尋ねると、「自分で考えて行動し、柔軟に対応できる人でありたいし、アドバイスをそのまま受け入れるだけでなく、自分自身の意見を持ち発言できる人でありたい。従業員が悩んでいたら、店長としてだけでなく同じ社員としてフラットに相談してもらえる人でありたい」とまっすぐ前を見つめた。
集後記
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東北学院大学 2年
経済学部 経済学科
菊地 七虹
この取材を通して、「百聞は一見に如かず」という言葉の重みを大いに実感しました。私は先入観や噂話、インターネットといった狭い世界の情報だけで、物事を急いで判断したり、理解した気になったりすることがしょっちゅうです。今回の学生記者の体験で、個人で調べた企業の情報や取材したい内容をグループ内で共有することで、知見が広がったりさらに知りたいことが増えたりしました。取材前に個人だけでなく複数人で意見を共有し、ブラッシュアップする機会が非常に有意義なものとなりました。そして、実際に現地に赴き、そこで働く人のリアルな声を聞くことで、新たな情報を得るだけでなく私自身の世界が少しずつ広まると感じました。この経験から、表面を知るだけで満足せずに、自ら行動を起こして知見を広め、自分自身を高めていきたいと強く感じました。
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東北学院大学 2年
教養学部 地域構想学科
中里 友香
今回の取材を通して、主に2つの驚きがありました。
1つ目は、社長が想像していたより若い方だったことです。老舗お茶屋さんの社長となると、私の中で60~70代前半くらいの人だと思っていました。しかし、井ヶ田社長は取材当時で41歳と、私の親よりも若くて驚きました。何よりとても気さくな方で、取材していくうちに段々と緊張が解れてきました。
2つ目は、井ヶ田の製品を仙台市中心部で作っていたことです。何となくのイメージとして、郊外の広い土地に工場があるものと思っていました。しかし本社2階とその隣でお菓子を作って、若林区卸町の工場でお茶を作っていることに驚きました。今度秋保ヴィレッジの隣に工場が新設されるそうですが、仙台の街中でお菓子をたくさん製造していたことに度肝を抜かれました。
今は将来について悩んでいますが、今回の取材を通して少しだけではありますが自分の心の中のモヤモヤが取れた気がします。
企業情報
1920(大正9)年、埼玉県の老舗お茶屋「繁田園」からのれん分けし、仙台市青葉区で「繁田園分店」として創業。68(昭和43)年に社名を「井ヶ田製茶株式会社」に変え、77(52)年には販売を担う別会社「お茶の井ヶ田」を設立した。メーカーの井ヶ田製茶、販売のお茶の井ヶ田という役割分担が功を奏して社は発展、2020年に創業100周年を迎えた。 最近は主力商品の生クリーム入り大福「喜久福」に加え、仙台市も舞台となったアニメ『呪術廻線』とのコラボ商品や「ひとくちずんだ餅」なども人気を博している。
本社所在地
〒980-0804
宮城県仙台市青葉区大町二丁目7-23
電話
022(224)1371
資本金
2,000万円
営業種目
茶製造販売
従業員数
200名
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